一昨日の雨が上がると、山々は雪化粧した顔をのぞかせていた。初冠雪だ。
友人たちがSNSにあげた写真を見て、驚いた。富士山も、八ヶ岳も、南アルプス連峰も、みな一斉に初冠雪を迎えている。
高さも環境も違う山々。そろってというのは、珍しい。
まるで天皇陛下の「即位の礼」であるその日に合わせたかのようではないか。
などと考えるのは、人間だけだ。
山々は、何も言わず悠々と微笑んでいる。
澄んだ空気のなか浮き上がるように青く青くそびえ立つ山を見ていると、小さなことにくよくよ悩んで落ち込んだりしている自分が、ほんとうにちっぽけに思えてくる。
「雪の冠(かんむり)は、乗せてはいないけれど」
と、目を閉じて頭のてっぺんに冠を乗せているつもりで背筋を伸ばしてみる。
「山たちに負けず、凛と生きていかなくちゃ」
そう顔を上げた途端、かんむりが滑り落ちたような気がしたのは、乗せ慣れてないからだろうな、やっぱ。
まあ、わたしなりにがんばろう。
真ん中の尖った山が八ヶ岳の最高峰、赤岳。
南アルプス連峰。
ヨガに通っている南アルプス市から撮った富士山。
☆『地球の歩き方』北杜・山梨特派員ブログ、更新しました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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