9月後半は、出かけてばかりいた。
女子会でも上京したが、そのほか家族の雑事などで2回東京へ、義母の検診の付き添いで神戸に帰省もした。台風が来るまえにと大急ぎで墓参りをし、台風直撃の夜は神戸のホテルで缶詰めになった。慌ただしい日々が続いていた。
韮崎駅から運転する道すがら、秋の顔をした八ヶ岳が目に飛び込んでくる。ああ、帰ってきた、とホッとする瞬間である。
東京の実家で「ただいま」と言う。
神戸の夫の実家でまた「ただいま」と言う。
帰るところは、いくつかある。
けれど本当に帰る場所は、やはり自分の家である。
肩の荷を下ろし、実感する。
「ああ、ただいま」
考えてみれば、生まれてこのかたいちばん長く暮らしているのが、ここ明野となった。19年というのは、そういう長さ。時間である。
子どもたちもたぶん、ほかの土地に根づくのだろう。
ようやく帰った我が家は、庭やウッドデッキに松の枝などが散らかってはいたが、何ごともなくぶじだった。デッキの上ではけろじが、出迎えてくれた。
とても久しぶりに、定点観測地点から撮りました。
空よりも青い八ヶ岳です。
最高峰の赤岳です。
螺旋のような形が魅力の権現岳。
上を見上げるとさらに青い空と刷毛で描いたような雲。
足もとには、葱畑が広がっていました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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