陽暮れが少しずつ遅くなっている。
週末、夕刻も6時を回ってから、夫と散歩に出た。40分ほどのコースをのんびり歩くと、ちょうど陽が沈むところを眺めながら歩くことになった。
我が家は標高600mの場所にあり、だから坂の途中である。
どちらへ行っても上ったり下ったりしなくてはならない。
そしてだから、広がる田んぼも棚田となっている。緩やかで名所でも特別でもないただの棚田だ。
原風景というのだろうか。
たぶん、この先どこで暮らすことになっても忘れることはないのだろう。
東京生まれ東京育ち、生まれた借家も取り壊され、両親は都営住宅で暮らしている。そんなわたしには、「ふるさと」と呼べる場所がないと少し淋しい思いを抱えていたが、ふっとそんな気持ちが解き放たれた。
明野のなんでもないこの風景を、きっとわたしの「ふるさと」と呼んでいいのだ。
夕陽と空と雲が、田んぼに映りこんでいました。
整列した苗たちが、気持ちよさそうに夕陽を浴びています。
麦畑も綺麗! 八ヶ岳は霞んでいました。
「麦たちよ、美味しいビールになるんだよ」と声をかけるとと、夫が「小麦粉になるんじゃないの?」と呆れ顔。
名所でもなんでもない近所の棚田。美しいです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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