きのう、夕方5時過ぎの空には、叢雲(むらくも)がいっぱいに広がっていた。
空の写真図鑑のような本『空の名前』で覚えた雲の名で、見ると胸がざわつくような不思議な雲だ。
その後、1時間ほどして、久しぶりに夕焼けを見に出た。
定点観測の場所ではないが、八ヶ岳と南アルプス連峰がパノラマで見渡せるスポットが、ゴミ出しロードのすぐそばにある。
するとまるで魔法のように、叢雲がいなくなっていた。
カメラの時間を確認すると、1時間も経っていない。
こんなにすぐに、こんなにみんな、消えてしまうのだ。
ついさっき、わたしの胸をざわつかせたあの雲たちは、いったいどこへ行ったのか。
狐につままれたような気持ちになりながら、しかし、こうも思った。
ひととき胸をざわつかせる叢雲も、まるで夕焼けに出番を譲ったかのように消えていく。
たいへんなこと、辛いこと、心配なこと。そういう気持ちだって、叢雲のようにすっと晴れていくものなのかも知れない。
空はまだまだ、たくさんのことを教えてくれる。
夕方5時過ぎの八ヶ岳です。
同じ時間に、振り返ってみた南アルプス連峰。
1時間後の夕焼け空には、叢雲の姿はなくなって。
うちの近くから見ると、八ヶ岳と南アルプスのあいだくらいがいちばん濃いオレンジ。
いちばん左が甲斐駒ケ岳。南アルプス連峰は、シルエットが美しい。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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