元旦の午後、夫とふたりのんびりと散歩した。
北から八ヶ岳おろしが強く吹いていたので、南に向かって歩く。
初日の出を見たときにも八ヶ岳おろしに吹かれながら待ったのだが、顔は南東を向いていたので楽だった。ネットで見た初日の出の時刻よりお日さまが顔を出したのは30分も後だったので、かなり待ったのだ。
「今日はもう、出ないんじゃない?」
「南から木枯らしが吹いてきてたら、初日の出見ないで帰ってるよね」
などと話しながら。
そのことがあったので、南に向かったのだった。八ヶ岳や南アルプス連峰が美しく見えるアスファルトの広い道を歩くコースとは打って変わって、帰り道、林のなか堰沿いを落ち葉を踏みながら歩くコースである。
落ち葉で滑ると堰に落ちそうになるので、自然と足もとを確かめながらゆっくりと歩くことになる。足もとにあるいろいろなものが、落ち葉のほかにも見えてくる。形の違うどんぐりたち。野薔薇の赤い実。黄緑色が目を惹くウスタビガの繭。松ぼっくりが落ちて芽を出したのだろう、若く細い松の木。落ち葉の布団の下で、濃い緑色の葉を伸ばしているオオイヌノフグリ。声に見上げると高い枝先に、野鳥たちが戯れている。
北風が南に向かわせてくれたおかげで、林のなかの散歩を満喫できた。
イソップの『北風と太陽』では、旅人のコートを脱がせられなかった北風だが、こうしてわたしたちに日々影響を与えている。南風じゃなくてよかった、って言われることだってあるのだ。
堰の向こうには、茅が岳が見えています。この細い脇道を歩きました。
あ、倒れてる木が。その下をくぐって歩きました。
どんぐりもいっぱい落ちていました。クヌギの木が多いのかな。
丸いどんぐりもいっぱい落ちてる。いろんな木が共生してるんだね。
枯れたススキと野薔薇の赤い実。
黄緑色がきれいなウスタビガの繭も、あちらこちらに落ちていました。
木の上では、ツグミが2羽で何やら会話していました。
我が家のお近くにいらっしゃる石仏さんです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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