マツバギクは、眠る。
知らなかったわけではないような気もするが、あらためて知った。
日曜に、夫と庭仕事をしていた。
そのとき、マツバギクを一輪、差し出された。
「間違えて刈っちゃったから、飾ってやってよ」
わたしはフラワーアレンジメントのセンスなどなく、飾るにしても一輪挿しくらいのものだが、庭の花たちに楽しませてもらっている。
その夜、目撃した。
マツバギクが眠るのを。
紐のような細く濃いピンクの花びらを束ねたように集め、寝息を立てている。
チューリップなどが日暮れとともに眠るのは知っていた。もしかしたら、マツバギクも夕刻や早朝に庭で眠る姿を目にしていたのかも知れない。
それでも、それが記憶にとどまらなかったのは、それだけひっそりと咲く花だからなのだろう。
マツバギクは、20年前に家を建ててもらった大工さんにいただいた。
「石垣のあいだに植えるといいよ」
近所だった大工さんの家の近くで、スーパーのビニール袋いっぱいにもらったのはいいが、そのときわたしはびっきーの散歩中で持って帰るのに四苦八苦したのを覚えている。
その大工さんも亡くなり、びっきーも死んだ。子どもだった息子も娘たちもすっかり大人になった。
けれど、そのマツバギクをもらい往生した瞬間の記憶を掘り起こすと、そこには大工さんもびっきーもいて、12歳と9歳と5歳の子どもたちがいて、まだ若かったわたしがいたことをはっきりと思い出すことができる。
マツバギクは、咲いたり眠ったり、冬枯れしたり芽吹いたりしながら、ずっとわたしたちを見てきたのだろうか。
トイレの写真で失礼します。窓際にいつも飾っている一輪挿しです。ミントと併せて。
毎年強く咲いてくれるマツバギク。
移植したところでも、すぐに根づいてくれます。
最近一輪挿しによく飾るのは、庭と森のあいだに勝手に咲いているフランスギク。
今、庭では、グランドカバーのクリーピングタイムも咲いています。
ナデシコも咲き始めました。
たくさん咲く花も一輪に注目してみるとまた表情が違いますね。
マツバギク、昔はよく石垣の間やそのあたりの植え込みで見かけたけれど、最近あまり見なくなりました。
グランドカバーにいいかな?って思った時期もあったんだけど、手に入れる事無く忘れてしまってました。
そうなんですね。 マツバギクは夕方になったら眠るのですね~
やっぱりあまり知らなかったんだなって思います。
前にガザニアっていう花をガーデニングクラブで植えたけれど、やっぱり日がかげると眠っていました。
マツバギクの葉っぱは多肉植物みたいで、強いんですね。
今度花屋さんで見かけたら買ってみよう~
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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