甲高く聞き慣れない鳴き声が、リビングに聞こえてきた。
見ると、屋根の上に一羽の野鳥がとまり、仲間に呼びかけるように上を向いて鳴いていた。
逆光でよく見えなかったけれど、写真に収めるとジョウビタキだとわかった。
冬鳥。
冬に渡来する渡り鳥だ。
聞き慣れない鳴き声だと思ったのは、冬だけに聞く声だったからだろうか。
ヒッ、ヒッとも、ピッ、ピッとも、キッ、キッとも聞こえる。
耳から入ってくるのではなく、頭の右上の方に響いているようにも思える、普段は耳にしない日本語にはない音だ。
ところで、野鳥の泣き声を覚えやすく、日本語に置き換えた言葉を「聞きなし」というそうだ。
代表的なのは、ウグイスの「法華経」や、ホトトギスの「特許許可局」。
ほかにも、コジュケイの「ちょっと来い 」、ツバメの「土食って泥食って渋ーい」、フクロウの「ぼろ着て奉公」、センダイムシクイの「焼酎一杯ぐいー」、ホオジロの「一筆啓上仕り候」、イカルの「お菊二十四」、コノハズクの「仏法僧」などなど。
おもしろい。
ホトトギスは「特許許可局」じゃなく「テッペンカケタカ」と覚えていたが、鳴き方が多少違っても「テッペンカケタカ」と聞こえてしまうのがまた不思議。
思い込みや先入観というものは、無意識のなかにあり、五感をも左右してしまうものなのだ。
お腹の茶に近い橙色と黒い羽に白いライン、細いくちばしでわかります。ジョウビタキです。
これは、2018年11月に撮った写真。
これも、2018年2月の写真です。小首を傾げる仕草が可愛い。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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