ようやく晴れた日曜日、薪ストーブの煙突掃除をした。
「17シーズン目だっけ?」と、夫。
「越してきたばかりの4月に燃やしたから、18シーズン目かな」と、わたし。17回目の冬を迎える準備だ。
夫は慣れたもので、外煙突はそのまま、家のなか部分は外して庭に出し、煙突用のブラシをなかに通してこする。年に一回の行事だが、例年通り、今年もけっこうすすが削り取れた。これをやらないと、シーズン中に煙突が詰まって、なかなか火がつかなかったり、煙が部屋に逆流したりする。薪の準備と同様に、大切な仕事だ。
「晴れて、よかったね」
「もういつでも、燃やせるな」
夫とふたり、煙突とその上に広がる秋の空を、見上げる。そして、足もとに落ちたすすを見下ろした。
煙は、空へ上っていく途中に、これだけのすすを煙突に残していった。上へ上へとのぼっていくために、次々いらないものを脱ぎ捨てて。
人もきっと本来の自分になりたくば、脱ぎ捨てなくてはならないものが限りなくあるのだろう。そんなことを考えながら、流れる雲を見送る。
明野の秋は、短い。すぐに、冬がやって来る。
昨日は、ほんとうに気持ちのいいお天気でした。
八ヶ岳も、すっきりとした秋の顔をしています。
家のなか部分の煙突は、取り外して掃除します。
すす。本当に真っ黒です。艶やかな美しい黒。
さっぱりしたね。もういつでも薪を燃やせるね。
外国童話に出てくるような、洒落た煙突ではありません。
そう言えば、家を建てる前に小学生だった娘が言ってたなあ。
「サンタさんが通れる、煉瓦の煙突が欲しい!」
今シーズン、最初に煙を出すのはいつになるのかな。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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