「芝桜も、もう終わりだなあ。今年植えたのも根づきますように」
緑濃くなった芝桜を見下ろしていたら、いくつもの小さな赤い実が落ちているのを見つけた。山桜のサクランボだ。
食べたことはないが、可愛い。思わず頬が緩む。
そして、大きく育った山桜の木を見上げる。
20年前に越してきたとき、5センチほどの山桜の苗木を植えた。隣りの林に芽を出していたのを見つけ、こっそりいただいたのだ。土も同じだしすぐに根付いたが、こんなに大きく育つとは思ってもみなかった。
植物はときに、話しかけてくる。
「足もとばかり見ていないで、空を見上げてごらんよ」
足もとに落ちたかたく小さなサクランボも、そう言っていた。
見上げるほど大きく育った山桜の木の向こうに、雨上がりの空が見えた。
玄関側の駐車場を飾る芝桜は、ピンクばかりを植えています。よく見るとピンボケのサクランボが見えるでしょ。
熟すことなく落ちたんだね。種が芽を出すこともあるんだろうなあ。
雪柳の向こうに立つこの木が、山桜。芝桜、ピンクを選んでいるのは真っ白い花が咲く雪柳の足もとに植えているからです。
いっぱい実をつけていました。
空まで、伸びろ~!
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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