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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

向日葵の涙

「今頃、向日葵が咲いてるらしいよ。ちょっと見に行こうか」

夫が言ったのは、Jリーグチャンピオンシップのハーフタイム。

「いいね」

わたしもすぐ、上着をひっかけた。向日葵畑は、車で5分ほどの場所にある。

「あ、お風呂のお湯、入れっぱなしで来ちゃった」

呑気にそんなことを言えるほどに、近所なのだ。

 

我が町明野町は、向日葵畑を観光名所にしている。

しかし花が咲くのは8月の終わりまでだ。それが今年は秋の暖かさに、種を落とした向日葵たちがこぞって咲いてしまったらしい。

人だって不意に時間が判らなくなることなど、ままある。だが、向日葵にはままある訳ではなさそうだ。越してきて17年目。初めてのことだ。

 

咲き終えた向日葵の花を見て、いつも思っていた。

じっとうつむき雫の形の種をこぼしていく様は、まるで涙をこぼしているようだと。その向日葵たちの涙が芽を出し寒空のなか畑いっぱいに花を咲かせたのだ。

向日葵の明るい色は、そして太陽に向かって咲く様子は、見ていると元気が出てくる。けれど、うつむいて涙の形の種をぽろぽろと落としていく向日葵にもまた、魅かれる。どんな人にだって、悲しいこともあるんだよ、涙をこぼしたっていいんだよって言っているような気がして。

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向日葵畑の向こうには、雪を冠した八ヶ岳が見えました。

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寒空のなか木枯らしに吹かれながらも、きれいに咲いて。

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よく見ると一輪一輪違っています。

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大きく咲いているものあり。

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これから咲くものもあり。

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涙をこぼすものあり。

cimg1978凛と上を向くものあり。

cimg1984きのうの八ヶ岳です。ふもとは紅葉が美しいです。

COMMENT

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  1. Yasuko より:

    まあ、向日葵が咲いているのですね。それも一面に。子供たちと一緒にわいわい言いながら向日葵畑の中を歩き回り靴をじゅくじゅくにしたのは何年前でしょう。
    そうですか、涙のような種を落とすのですか。
    スペイン旅行も何年か前になりますが、アンダルシアの向日葵は咲かない年だということで、走っても走っても畑ばかりが続く中で、バスの窓の下に茶色く首を垂れた何本かがあったのが妙に印象的でした。
    何故か向日葵が好きでした。黄の色がくっきりと美しく、中心のこげ茶がしっかりその黄を支えているようで安定感があるからでしょうか。いつの頃からか向日葵が人気になりちょっと引けたりしましたが、やっぱり好きです。ここバルコニーから見える向いの1本の向日葵はとうに首を垂れてしまっていますが。

    • さえ より:

      yasukoさん
      そうなんです。今年は秋が暖かすぎたんでしょうか。一面に咲いていて。今日は雪が積もってしまい、ちょっと可哀想です。
      わたしもアンダルシアの向日葵は見たことがありません。広い大地ですからきっと壮観なのでしょうね。
      たしかに中心のこげ茶に安定感を感じますね。花を見て思うこともそれぞれでおもしろいですね。

  2. Yasuko より:

    コープの注文をとパソコンを開いたら雪をかぶっている向日葵が映っていてびっくりしました。
     「ヒマワリと雪 異色の共演 山梨 北杜」季節外れのヒマワリが咲き誇る畑に雪が降り積もり、
      不思議な光景が広がっている (写真 産経新聞)
    とあります。追加コメントです。

    • さえ より:

      yasukoさん
      わたしも見ましたー。Yahoo!トップの写真になっていましたね。
      向日葵、ちょっと可哀想だけど、がんばれ~!

  3. ぱす より:

    こんばんわ。
    今、報道ステーションで雪をかぶったひまわりを見ました。

    北杜市。さえさんのブログで見た~っと思いました。
    ひまわりも勘違いするんですね。
    種を落として、ついつい咲いてしまったんですね。
    紅葉とひまわり。それもめずらしい光景なのに、雪とひまわり。
    めったにない光景ですね。

    八ヶ岳の麓の紅葉もきれいですね。

    • さえ より:

      ぱすさん
      おはようございます。
      報道ステーションでもやってたんですね。
      明野に住んでいても、わざわざ見に行かない人の方が多いくらいなのに、日本中で注目されているなんて不思議な感じがします。
      紅葉は、この雪で一気に葉を落としてしまいそうです。

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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