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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

『スーパーカブ』

北杜市に、県立高校はひとつしかない。だからてっきりその北杜高校かと思ったのだが、小熊(こぐま)が通っているのは架空の高校だった。

平成の大合併で8町村がひとつになった北杜市。

小熊が暮らすアパートは、長坂町。そしてカブで通う高校は、武川町。武川には高校は実在しない。

 

何のことかといえば、ライトノベルで人気の『スーパーカブ』の舞台が、ここ北杜市なのだ。

高校入学と同時に天涯孤独となった、主人公、小熊。父親は生まれた頃に事故死していて、母親は娘が高校に入った途端、失踪した。奨学金をもらい、アパートでひとり暮らし、高校に通う生活。

小説のスタートは、1章『ないないの女の子』だ。

親もいない。親戚もいない。友達もいない。部活もやってない。趣味もない。そんな小熊が手に入れたのは、中古の原付バイク、スーパーカブだった。

 

小熊は、自分を残し失踪した母親を恨むこともなく、淡々と生きている。感情がないのかと疑問が湧くほどに淡々と。それは最初、諦めなのかと思っていた。しかし1巻を読み終えてそうではないことに気づく。

自分に必要なことを見極め、必要なことをする。そのなかでちょっとだけ楽しみを見つけられればいい。その考えは、諦めではない。彼女にとって、生きていくすべとなる背骨のようなものなのだ。

表紙の絵からは引っ込み思案のおとなしい女の子を想像する。小熊は地味で目立つのを嫌い、勉強その他何もかもがごく普通だ。だが背骨となるしっかりとした芯を持っている。ひとりで生きていくためには、誰かを恨んだり泣きわめいたりしている場合じゃないのだということを、ちゃんと知っている。

もしそうなったらどうしようかと途方に暮れるより、そうなったらどうすればいいかを考えれば道は拓ける。

カブに乗りなれた頃の小熊の言葉だ。

小熊と正反対に望むものは何もかも持っている(美形で頭脳明晰、裕福な親の別荘でひとり暮らしている)礼子とカブ仲間になるが、甘ったるい友情物語にならないところが、読んでいて心地いい。
友達ともいえない関係と思っている割には、礼子の無茶な行動に

「ばかみたい」

と言い放つこともできる。自分の考えをはっきりすぎるほど

持っている小熊だからこそ、礼子みたいなタイプの女子もつるめるのだ。

 

中古で1万円で買ったスーパーカブは、小熊を乗せて隣町の学校へと毎日走る。そして北杜市から甲府へ、さらに県境を超え箱根へ鎌倉へ、この先たぶんどこまででも走っていくのだろう。

角川スニ―カー文庫のラノベは、全3巻。

コミックは、まだ1巻しか発売されていません。

小熊が暮らすアパート近くのJR『日野春駅』です。

通学の往復で走る『釜無川橋』の右が日野春方面。左が学校のある武川町。

小熊が免許取得の実地教習を受けた農大に向かう道。八ヶ岳がきれいに見えます。『スーパーカブ』の聖地を紹介する記事を『地球の歩き方』北杜・山梨ブログにかこうと思っています。

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PROFILE

プロフィール
水月 さえ

随筆屋。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

夫が営む広告会社で経理を担当。

2012年から随筆をかき始める。

 

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。

 

『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

随筆かきます。

 

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