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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

『妻は他人 だから夫婦は面白い』

本の紹介サイト「シミルボン」で知ったコミックエッセイ『妻は他人 だから夫婦は面白い』(KADOKAWA)を、のんびりと開いた。

活字を追うのに疲れ、漫画に走るときもある。

「漫画っていいな。ぼんやりしながら読める」

と、ひとりの雨の夜にコタツでまったり飲みながら、読んだ。

 

出会って8年、結婚して5年、一度もケンカをしたことないという夫婦。その夫(28歳)が描いた、夫婦をテーマにしたエッセイ漫画である。

夫婦円満のコツを聞かれ、こう答える。

妻は他人である。ということを絶対に忘れない。

どういうことかというと、これは友達や恋人にも言えることだが、

「相手が妻(夫)だから○○を要求する権利がある」という考えは大変危険だ。

「妻なんだから料理くらい作れよ」

「夫なんだから全部支払ってよ」

「友達ならこれくらい普通でしょ?」

「恋人ならそれくらいやってくれても良いじゃない?」

ここまであからさまでなくても、この心境がケンカの原因になってしまっているのだろう。

なるほど、他人かあ。わかりやすい解説だな、と腑に落ちた。

他人という言葉を使うことはためらわれるが、考え方自体は、わたしが夫や子どもたちに接してきた感覚ととてもよく似ている。

自分は自分だし、夫も、そして子どもであっても、ひとりの人間として尊重する。行動が伴っていたかどうかは疑問だが、そうありたいとは思ってきた。それでも数え切れないほどのケンカ、してきたけど。

 

しかし、本谷有希子の『異類婚姻譚』(講談社)を読んだときにもまた、腑に落ちた。夫と自分との境目がわからなくなっていく妻を描いており、その感覚は身に覚えがあるものだったからだ。

 

3人の子どもたちが幼い頃、誰もかれもがよく擦り傷を作った。ばたばたと3人を風呂に入れ、身体を拭いたあと擦り傷に軟膏を塗る。そのとき息子の膝小僧に塗ろうとしたら傷はなく、娘たちの膝を見てもやはり傷はなく、狐につままれたような気分に陥った。ふと見ると擦りむいていたのは自分の膝だった。その逆もあり、その頃は、まるで家族間を擦り傷が移動しているかのようなファンタジーの世界に住んでいた。自分と誰かの境目がわからなくなることだってあるのだ。

以前かいた『異類婚姻』のレビューに、こうある。

毎日同じご飯を食べ、同じテレビを観て、セックスをし、子どもを産み育てていく夫婦というモノ。自分と相手の境い目が判らなくなってしまったとしても、全く可笑しなこととは言えないよなあ、確かに。

また、瀬尾まい子の『幸福な食卓』(講談社)のワンシーンも脳裏に浮かんだ。

「父さんは今日で父さんを辞めようと思う」

そう宣言した翌朝、言葉通りに食卓に現れなかった父だが、娘が中学に出かける段になり玄関に現れた。

「だめだ。やっぱり」

父さんはおはようも言わずにそう言った。

「見送らずにはいられないのね」

私が言うと、父さんは苦笑した。

「ああ、なかなか父さんから脱出できない。いってらっしゃい」

『妻は他人』にある「要求する権利」とは正反対の「自分の役目だと思うことを果たさずにはいられない」心境である。

これもわたしにはあるあるで、父さんと同じく「いってらっしゃい」と家族を玄関まで見送らないと気が済まない。

一度、夫が夜出かけるときに玄関まで見送ると、末娘に言われた。

「仲、いいねえ」

彼女が発した言葉と同じタイミングで、わたしも言ったのだが。

「しめしめ、行ったぞ。ビール飲も♩」

 

我が家は、結婚して33年目。

子どもたちはみな成人するかしないかの歳で都会や海外へと出ていった。もしかすると、ひとりの人間として尊重しすぎてみな親離れが早かったのだろうかとも考える。考えるがそういうふうにしか、わたしにはたぶんできなかった。

現在夫婦ふたりの生活に戻ったが、けっこう円満な方だと思う。

『妻は他人』のさわぐち夫妻は、自分で食べるものは自分で料理し、それぞれ食べたいときに食べ、洗い物も各自でするというスタイル。こういうスタイルも多くなっているのかな? と彼らと同い年の娘に訊いてみたい気もするが、夫婦一緒に食事するのが楽しすぎて、取り入れようとは思わないかな。

CIMG0698Twitterフォロワー数12万人を超えているそうです。帯裏には「SNSで支持される円満ノウハウがすべてつまった一冊‼」とありました。

CIMG0706「妻は他人」のページはこんな感じです。

CIMG0707写真では見えませんが「他人行儀になれ」ということではない、とあります。

CIMG0703むかし読んだ本たちは、娘の部屋の本棚にありました。

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PROFILE

プロフィール
2016-10-02-11-07-59-1
水月 さえ

随筆屋。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

夫が営む広告会社で経理を担当。

2012年から随筆をかき始める。

 

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。

 

『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

随筆かきます。

 

依頼はメールフォームからお願いします。

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