『三人屋』の続編。あれから、3年経っていた。
大学生だった三女、朝日の就職を機に、「三人屋」の朝昼は、まひるが切り盛りする自家製玉子サンドを出し大評判となる。
夜は変わらず夜月のスナックで、風変わりな男たちが酒を飲むのだった。
『三人屋』同様、章ごとに違う男たちの目線で語られていく。
豆腐屋古屋と同棲する、ゲイの理人(26歳)は、歳を重ねるごとに古屋の好みから外れていく自分に戸惑っていた。実家の両親とも確執があって、帰る場所もない。夜月は、理人にバーテンをしないかと誘う。
新人賞以来、一作もかけない小説家、一也(29歳)は、夜月が借りた部屋で暮らし始める。
携帯ショップのワンオペ店員、亘(30歳)は、まひるとつきあっているが、結婚に踏み切れない。
大金持ちの透(35歳)は、恋人の朝日にセレブだと言いだせないまま、夜月のスナックに飲みに行く。
もと夜月の恋人で女泣かせのスーパーの店長、大輔(39歳)は、突如モテなくなり、女に困る。結局は初恋に翻弄されているのかと、「三人屋」の常連で会社員、森野(29歳)に呆れられる。
みな、恋愛に人生に悩みを抱えているのである。
そんななかある騒ぎが起こり、夜月はまたまた行方不明。「三人屋」は閉じられるのだった。
夜月を探すために新聞広告を打とうという大輔に、森野とまひるが提案する。
「夜月、帰ってこい。サンドの秘密を教えるぞ」
そうかけばいいと。
「サンドの秘密……私たちが、ここで出していたサンドイッチあるでしょう。玉子サンドは三種類出していたけど、ゆで玉子を潰してマヨネーズと和えたやつ、ふわふわでやわやわの」
「ええ、わかります。おいしかった」
森野も何度か買ったことがある。
「お姉ちゃんはあれを特別、気に入って、私たちに教えて欲しいって言ってたの、あの卵ペーストの作り方を。そして夜の店で出したいって。でも、私たち、意地悪しておしえてあげなかったのね」
果たして夜月は、帰ってくるのか。そして、サンドの秘密とは?
茹で卵をつぶした定番の玉子サンド、半熟茹で卵を挟んだサンド、厚焼き玉子のサンド。う~ん、どれも美味しそう♡
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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