映画は小説より、その空気感が身近に感じた。
そこに漂うのは、淋しさだった。
8人の女が登場して、それぞれの日々を生きている。いろんなひとりぼっちだが、精いっぱい自分の「孤独(ひとり)」を抱えながらなんとかやっている。
映画パンフにかかれた原作・脚本を手掛けた筒井ともみの言葉である。明るく元気になれてホッとするこの映画の根底に流れているのは、淋しさなのだ。
トン子【小泉今日子】古書店「モチの家」の店主兼文筆家
美冬【鈴木京香】ごはんや「道草」女将・トン子の幼馴染みで親友
ドド【沢尻エリカ】トン子おつきの編集者
タミコ【前田敦子】制作会社AP
マチ【シャーロット・ケイト・フォックス】料理しない主婦
タマミ【山田優】「BARロマ」でピクルスを作り働く、オーナーのもと妻
あかり【広瀬アリス】「BARロマ」常連で挽肉料理が得意
ツヤコ【壇蜜】もと夫を忘れられない2人の子持ち
トン子と料理を中心にかかわっていく彼女たち。
恋して失恋して泣いて淋しくて、恋して結ばれてそれでもやっぱり淋しくて、彼女たちは美味しいものを食べる。20代で好きな人を亡くしたトン子は言う。
さみしいって気持ちもね、ぎゅーっと抱きしめると氷の塊がゆっくり溶けてくみたいにやさしい水になる。
「モチの家」の庭には枯れ井戸があり、その井戸は彼女たちの「いつかまた水が湧くかもしれない」という微かな希望をあらわしている。
あたしたちは、きのうのままのあたしたちじゃない。地球が自転するように、きのうよりちょっとだけ前に進んでいる。
美味しいものを食べて、いい女にならなくちゃ。泣いて笑って、素直にそう思える映画だった。
新宿バルト9には、小泉今日子の衣装が展示してありました。
映画パンフレットです。
映画版の人物相関図。中心になるのは「モチの家」です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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