上原さんは、小さい。
自ら背番号32を選び、32は「ミニ」つまり小さいからと話す彼は、氷上の姿を見おろし、確かに同じチームの誰よりも小さいと実感した。いちばん小さな選手を探せば、すぐに上原さんが見つかる。
そして、速い。
猛スピードで駆け抜ける選手がいた、と思ったら上原さんだった。
上原さんがブログで紹介していた記事「氷上の小さなテクニシャン」には、こうある。
先天的なハンディキャップの影響で下肢が小さいため、スレッジも他選手より小さくて軽いものを使える。それが、動きの良さを生む。
『上原大祐オフィシャルブログ』は → こちら
あのパワーは、どこから生まれているんだろう。
「車いすスポーツGOMI拾い」で講師をしていただいたときにも漠然とだが持っていた疑問が、氷上で走り回る彼を観ていてふたたび湧きあがって来た。
パラアイスホッケーは激しく身体がぶつかり合う競技で、選手が壁にぶつかるシーンも多い。そのたびに観客席まで振動が届き、激しさと身体へのダメージとを実感した。けれど。
「……楽しそう」
不意に思った。
楽しい。だから、思いっきりやる。
上原さんからは、そんなオーラを感じられた。
NPOの活動などで出会った子どもたちに、氷上を走り回る姿を見てもらいたい。彼はそんな思いで、一度は引退したパラアイスホッケーに復帰したそうだ。
「楽しいことを思いっきりやろう!」
そんな上原さんからのメッセージを受けとりながら、「行けー! だいすけぇ!」と声を枯らし叫んでいた。
韓国戦の前の練習風景です。背番号32が、上原大祐さん。
2本のスティックで縦横無尽に走る日本と韓国の選手たち。
試合後にたがいの健闘をたたえ合う姿です。
試合終了後は、ヘルメットがあちこちに転がっていました。
上原さんはリンクじゅうを回り、応援してくれた人たちに挨拶していました。
こちらは、アメリカ戦。写真を撮る余裕はほとんどなかった。
アメリカチームの若い力に押されながらも、よくがんばりました。
上原さんのブログからのメッセージ
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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