ポルトガルへ行こうという話になったのは、2年ほど前のことだろうか。俳優、柄本佑の旅番組をテレビで観たときだった。
ポルトガル映画の巨匠オリヴェイラ監督が撮った作品が好きでポルトガルを訪ねて以来とりこになり、妻で女優の安藤サクラを連れて歩き回ったという。そのエピソードも印象的だったが、街の映像に釘付けになった。
石畳の街。そこを走るレトロな雰囲気のトラム。細い路地と急な階段。風に揺れる洗濯物。
「ここ、行きたいねえ」
と言ったのは、わたしだったのか、夫だったのか。
次にヨーロッパを訪ねるときにはポルトガルへ、と決まったのだった。
初めて訪れたリスボンは、驚くほどに石畳の街だった。どこまでも石畳が続くばかりか、石畳の歩道は、白い石のなかに黒い石をはめこみ、模様が描かれている。その模様も凝っていて、幾何学模様のようなものからしっかり絵が描かれているものまで、多種多様だ。
けれどやはり、おもしろいのは細い路地に続く何の変哲もない石畳の道だ。ここで暮らす人たちが毎日のように踏みしめて歩く道々。そのうえリスボンは、7つの丘の街と呼ばれていて、急で細い坂道がそこここに伸びている。アスファルトよりは硬くでこぼことしている石畳は、旅人たちの足を疲れさせるけれど、何とも味わい深いのだ。
「おもしろいねえ」「足にくるねえ」
そう言いながら、石畳の街を歩いた。
リスボンの表参道とも言われブランドのお店が並ぶ「リベルダーテ通り」です。幅の広い歩道の石畳は模様が描かれています。
きれい。おもしろいです。
石畳を修理する職人さんのこんな姿は、常に見られるそうです。
通りがかった道には、オブジェと帆船の模様がありました。
国鉄の駅がある「ロシオ広場」は、波のような模様が描かれていました。
そのすぐ近くには、こんな模様も。
名物のサクランボのお酒「ジンジャーニャ」を一杯ひっかけた「A GINJINNA」の前の小さな広場です。
歩行者天国の「アウグスタ通り」には、大道芸人の姿や、カフェ、レストランのほか様々なお店が並んでいました。
アウグスタ通りは、テージョ川沿いのコメルシオ広場に続いています。
「ビッカのケーブルカー」の線路の横も、普通に石畳です。
トラムの線路も石畳。急な坂道を行ったり来たりしています。
でも何といっても魅力的なのは、こういう何気ない路地もすべて石畳になっていることです。当てもなく歩きました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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