テージョ川沿いに建つ『ジェロニモス修道院』は、白く美しい。
ポルトガル建築の最高峰と讃えられるこの建物は、ヴァスコ・ダ・ガマのインド航路発見を記念して建てられた。その後植民地支配で得た富が投入され、300年以上の年月をかけてマヌエル様式の美しい修道院は完成したそうだ。
そのなかのサンタ・マリア教会に、願いを叶えてくれる「手」があるという。
彫刻のなかでも数多く見られる帆船のロープ。それを掴む人の手が3ヶ所だけあるそうだ。
かつては、これに触れると航海からぶじ帰って来られると信じられていたとか。そこから「願いが叶う」と言われるようになったらしい。
「手」をなでて、何か願いごとをしようか。
教会に入るまで、考えていた。けれどそこに足を踏み入れた途端その空間の静けさに圧倒され、すっとそんな気持ちは消えていた。
願いが叶う。
人はこの言葉に弱い。
欲深く、願いごとを捻出しようとする。自分本意にわがまま放題に。
一瞬にして、そういうものから解放された気がした。
小さな願いごとならいくらでもある。旅先で晴天に恵まれますようにとか。
大きな願いごともある。世界中から戦争がなくなりますようにとか。
結局「手」を探すことなく、サンタ・マリア教会をあとにする。
もしも願うことしかできない大切なことがあるのなら、どこにいても願っていようと、しんとした胸に思った。
『ジョロニモス修道院』外観です。
サンタ・マリア教会。
美しいステンドグラスが3枚並んでいました。
2階に上がって見下ろすこともできます。
キリスト像をこんなに間近に見上げたのは初めてでした。
『ジェロニモス修道院』の中庭とその周りの回廊。
回廊を歩きました。ポルトガル詩人ぺソアの墓碑がありました。
キッチンは、「アズレージョ」と呼ばれるタイル画で囲まれています。
多くの観光客が歩いていました。
すぐ近くにリスボンスイーツの代表「パスティシュ・デ・ナタ」がリスボン一美味しいと言われるお店『パスティシュ・デ・ベレン』があります。
こんな行列ですが、10分ほどで購入できました。1個1.15€。180円くらいかな。
写真撮らず食べちゃったので他のお店の写真ですが。つまりはカスタードクリームパイです。ベレンのは焼き立てで温かくパイ生地がパリパリでした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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