その土地に行ったらその土地のものを食べたい。
ポルトガルでは、むかし近海で大量に獲れ保存食にしていたバカリャウ(干し鱈)の料理が名物らしい。しかしメニューは難解だ。英語メニューでさえ、何の料理なのかよくわからない。
着いた日の夜は、ホテル近くのポルトガル料理の店に飛び込みで入ってみた。
こじんまりとしていて、お洒落。そして混んでいる。ほどよく混んでいる店は、たいてい料理が美味い。
メニューを広げ、単語を拾い読みして相談し、時間をかけてオーダーした。
悪戦苦闘して選んだのは、バカリャウのスープ、バカリャウのコロッケ、蛸の煮物、海老のクリームソース。
そのバカリャウのスープをひとくち吸った途端、口をついて出た。
「あ、なつかしい味」
バカリャウのコロッケも、同じくなつかしい味がした。
初めて食べるはずなのに、この味知ってる、とデジャヴュするその不思議。
干し鱈料理は、干物文化のある日本人には馴染みがあるように感じるのかも知れない。
そんな温かくなぜかなつかしい料理にホッとした気持ちになりながら、リスボンの夜はふけていった。
ホテルの近くの裏路地で通りがかって入ってみたお店。けっこう混んでて1時間後に予約して出直しました。
まずチーズとパンがでてきますが、有料。食べないのなら下げてくれます。いただきました。
よくわからないながら、最初はアレンテージョ地方のソッパ「アソルタ・アレンテジャーナ」のバカリャウバージョンをオーダー。半熟卵をかき混ぜて食べます。
そして、バカリャウのコロッケ「パスティシュ・デ・バカリャウ」。
蛸が、びっくりするほどやわらかい。蛸のハーブ煮ビネガー風味。
海老の魚介クリームソース。
内装もおもしろい。豆電球の周りにフライパンを吊るしたライト。
コルクのオブジェ。これ、発見のモニュメントに似てる! 遊び心あるなあ。
テージョ川沿いのベレン地区にある大航海時代に活躍した偉人たち33人を称えたモニュメント。
てっぺんに登って見下すと、ポルトガルが発見した国とその年号が記された世界地図が見えます。日本は1541年に発見されています。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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