結婚式翌日の夜、娘と3人、イザベルとミカエルの新居に招かれた。
彼らの部屋は、パリ郊外のアパルトマン4階にあった。
4階といっても、パリは1階を0階、2階を1階と呼ぶので5階の部屋だ。螺旋階段をくるくると登っていき、ドアを開けるとイザベルが迎えてくれた。
フランスの挨拶
〈軽くハグしながら、たがいの右頬と右頬をつけ、キスをするように唇を鳴らし、左頬と左頬でも同じく繰り返す〉
前回、パリで再会したときにイザベルに教えてもらったフランスの挨拶を交わし、ドアをくぐると、壁も床も窓枠も白く、初々しいふたりにぴったりの素敵な部屋だった。結婚式に飾られていた花があちらこちらにあり、夢のようだったきのうの出来事は夢ではなかったのだと、うれしくなる。キッチンからスパイスの香りが流れてきて、生活の匂いを感じた。
5人分用意された食卓に座るや否や、イザベルが奥の部屋から四角く大きなものを2つ出してきた。娘にひとつ、わたしと夫にひとつ手渡し「for you」という。
それは、イザベルが描いた絵だった。
昨年観に行った舞台が深く心に残っていて、それを絵にしたものだという。
思えば娘とイザベルが仲良くなったのも、きっかけは娘のピアノとイザベルの絵だった。カナダでおたがい初めてのホームステイでルームメイトになったふたりは、二十歳前。ほとんどしゃべれない片言の英語でコミュニケーションをとらなければならなかった。意思の疎通もままならぬまま、娘はイザベルのためにピアノを弾き、イザベルは娘のために絵を描いた。その後イザベルは我が家で、娘はイザベルの家で過ごすことになる。それから、こんなふうに長くつきあうことになるとは、わたしたちも、たぶん彼女たちでさえ思いもよらなかっただろう。
イザベルの絵を見るたびに、きっと思い出す。
言葉は大切だ。それはこの旅行でも実感した。メルシーと言うだけでたがいに笑顔になれるときもある。だが、言葉以外にも気持ちを伝え合うのに大切なこともある。伝えたい思いを、伝えようと行動することがじつはとても大切なのだ。
ディナーは、とても楽しかった。ミカエルと夫のルミックスのカメラがまったくおなじもので、みんなで驚いて笑ったり、パッションフルーツのアイスクリームだとミカエルが出してくれたものを食べた途端「桃だ」と娘と夫と3人で言ったのだが、桃ではないとイザベルに却下され笑ったりした。(フランスと日本の桃は違うのかも知れない)
「持って帰るのはたいへんだと思うから、絵は送りますね」
すっかり大人になったイザベルは、気遣いも忘れず、スマートに微笑んだ。
郊外のメトロの駅からアパルトマンまで歩く途中に見えた公園です。
これが、観に行った舞台のラストシーンを描いたという絵。
娘に贈られたのは、ブルーの絵。クライマックスシーンだそうです。
ラタトゥイユとチキンのライス。忙しいのに手料理してもてなしてくれたことに感謝です。スパイスが効いていて、美味しかった!
こんにちわ♪
フランスの結婚式の様子、パリの町並み。
毎日、楽しみに拝見していました。
外国の習慣の異なるおめでたい席。
緑に囲まれた素敵なお式でしたね。
貴重な体験ですよね。
パリの風景も懐かしい思いで拝見しました。
カルネを手にしてドキドキしてメトロに乗ったこと。
私もメトロ6号線に乗ってエッフェル塔を見るつもりだったのですが予定通りには行きませんでした。
いい眺めだったでしょうね。
すごく歩いたことを、思い返しました。
さえさん。もうお疲れ取れましたか?
イザベルさんの絵は届きましたか?
いい出会いをお持ちですね。
ぱすさん
こんにちは♩
異文化の結婚式、少し緊張しましたが、楽しい時間を過ごせました。
ぱすさんもパリをメトロに乗って歩いたんですね~
わたしも前回はがっつり観光するぞ!という意気込みだったからか(笑)歩きすぎて疲れました。パリってメトロの駅と駅の間隔が短いから歩けちゃうんですよね。
でも今回は、結婚式に照準を合わせて疲れないようにのんびめに過ごしました。
同じパリでも時間の過ごし方でずいぶん印象が違うんだなあと思いました。
イザベルの絵はまだ届きません。
どこに飾ろうかと楽しみに待っています♩
さえさん、お帰りなさい~
自由に歩いて巡る、パリの様子を羨ましく拝見していました。
もちろんツアーでしかいけない私だし、もう多分次行くなんてないだろうと思うと、
懐かしくもちょっと寂しく思う景色でした。
パリの結婚式は、ほんとに映画で見るようなお式なんですね。
イザベルさんのお家と家庭料理もツアー旅行者には味わえない世界です。
いいご縁をお持ちですね。
イザベルさん、絵がとてもお上手です!(*^^)v
ユミさん
ただいま~♩
歳を重ねて、旅はムリせずのんびりがいいなと思うようになりました。
ツアーでも、今は自由時間とかいろいろ選べるものが多くなっていると思うので、きっと合うものが見つかると思いますよ。
ほんと。映画のような世界で、夢だったようにも思えてきます。
新居も可愛らしくて、ふたりの暮らしを大切にしていることが伝わってきました。
イザベルの絵、ほんと、上手くなっていてびっくりしました。特にスーパーマンのミカエルを描いたふたりの絵は、そっくりなんですよ~
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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