アレンテ―ジョを歩く拠点として、エヴォラへ移動した。リスボンからバスで1時間半ほど。
エヴォラでは、一度泊ってみたいと思っていたポザーダ(古城や修道院など歴史的建造物を改装した国営のホテル)を宿泊先に選んでいて、それがまた楽しみだった。歴史やその国の文化を肌で感じる一夜が過ごせるという。
チェックインの際、部屋番号を見てまず驚く。
「3(スリー)?」
と夫が聞いている。
「yes.just 3」
103号室とかではなく、3号室なのだった。部屋数が少ないのだろう。
部屋に入ると広い玄関があり、その奥に居間のような部屋、階段を3段だけ降りた下にベッドルームがある。白とやわらかなグリーンで統一された可愛らしい部屋だった。
到着した日は遅めの昼食をお腹いっぱい食べたので、夜はバーでビールだけ飲み、ただただのんびり過ごした。
そのバーでのこと。
歳の頃は80くらいだろうか。老紳士がひとり静かに酒を傾けていた。
「むかし、亡くなった奥さんと来た思い出の場所なのかもね」
わたしが、意味なく推理する。
4つほど離れた席には、やはり歳の頃が似たり寄ったりの老婦人が物思いにふけっている。
「あのふたりが、ここで出会って恋に落ちたら、すごいよね」
夫も、わたしの推理にノッてくる。
その直後、老婦人は老紳士に声をかけた。
「先に部屋、帰ってるわね」
夫婦だったのか!
「あの4つ離れた距離感は、いったい何?」
「わからん。謎だ」
夫とふたり、声を落として爆笑した。
ポザーダとは、長く刻まれた時間の流れのなかで、憧れや思い出や推測や現実が交錯する場所なのであった。
「ポザーダコンベント」は、もと修道院だった建物を改装したホテルです。
部屋は中庭を抜けた先にありました。
なかに入ると、広い玄関的なスペースが。
扉を開けると、こじんまりとした居間。
少し降りたところにある寝室。
猫足のバスタブがあるバスルーム。
中庭には、レモンの木が重そうに実を垂らしていました。
バーはこんな感じ。photo by my husband.
朝食のブッフェレストランは中庭を囲む回廊のようになっていました。白と黄色とブルーの組み合わせ。スズメが2羽、行ったり来たりしていました。
梨のジュースを初めて飲みました。美味しかった。
クリスマスケーキもいく種類か並んでいたので、ひと口いただきました。
夏には中庭のプールも楽しめるそうです。
2階の客室は、もと僧房だったそうです。
エヴォラは、街のなかにも白と黄色の家が並んでいます。
どこまでも路地を歩いていきたくなるような。
黄色の家…日本だと何となく違和感があるけど、気候のせいなのか、とてもいい感じですね。
白が基調になっているからなのか、とても明るくていい感じの家並みですね。
クリスマスケーキ…私なら全種類食べているかも(笑)
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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