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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

二条城、二の丸御殿を歩いて

神戸に帰省した際、京都に立ち寄った。プチ旅行だ。

ふらりふらふら、二条城と東寺を歩いた。

まずは、二条城。歴史に疎いわたしは、家康が京都で過ごすために建てた城だということも、のちに皇室の別邸二条離宮となったことも初めて知ることだった。

 

二の丸御殿のなかが観て歩けるようになっていて、浅田次郎の『黒書院の六兵衛』(文春文庫)を読んだばかりの夫は、江戸城を観ることができない今、二条城にそれを観るかのように確かめながら歩いていく。

 

「虎の間の絵には、豹もいるんだって」

入口である「虎の間」と呼ばれる遠侍には、襖や壁に大きな虎が描かれている。徳川家の権力の大きさを示すだけでなく、守護の意味も込め強い虎を描いたとも言われているとか。

 

「うぐいす張り、ほんとによく鳴るねえ」

大勢の観光客がそれぞれ足を進めるたびに、キュッキュッと廊下が鳴く。偶然の産物だというそれは、何者かが忍び込んだときに知らせる役目をするからと、あえて修理はしなかったらしい。

 

「黒書院。将軍に、大名とか公家が会いに来る部屋なんだね」

黒書院には、将軍が背にする位置に満開の桜が描かれていた。雪をのせた松の枝と梅の花もあり、季節の流れを感じさせる。

 

「寝室かあ。やっぱり落ち着くたたずまいにしてあるんだ」

白書院「御座の間」は、水彩画でモノトーン。静かな空気が流れていた。

 

「ここだけ、アジアンな雰囲気だね」

「蘇鉄(そてつ)の間」は、蘇鉄が描かれた廊下で、当時珍しかった蘇鉄の木を将軍に献上したとかかれていた。

 

珍しいものを贈り、喜んでもらう。寝室では、静かで穏やかに過ごしたい。そんな気持ちは、今と何ら変わりがないんだなと思った。

そして虎に守ってもらい、うぐいす張りの音にびくびくしていた。怖かったんだろうなあと、思い至る。いつ誰が攻め込んできてもおかしくない時代を過ごした人々の気持ちを、漠然とだが推し量りつつ、廊下を鳴らしゆっくりと歩いた。

 

プチ京都旅行は、明日の東寺へつづく。

CIMG4590二の丸御殿の入口です。写真ではカットしましたが、すごい人でした。

CIMG4593二の丸庭園の蘇鉄は、冬の衣装をまとっていました。

CIMG4599二の丸御殿は、中庭も解放されていました。

CIMG4602天守閣跡からは、お堀の向こうに梅が咲いているのが見えます。

CIMG4607石壁も、お堀も、機械がない時代につくられたとは思えませんでした。

CIMG4618京都と言えば、西京漬け。金目鯛です。以前京都の友人に連れて行ってもらった西京漬けのお店を思い出しました。

 

COMMENT

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  1. papermoon より:

    さえさん、おはようございます♪

    二条城のうぐいす張りの廊下はすごく有名ですよね。
    初めて二条城へ行ったのは小学校の修学旅行だったのですが、なぜかうぐいす張りの廊下だけがすごく印象に残っています。
    最初にうぐいす張りと聞いた時は廊下を通るとうぐいすの鳴き声がするのだと思っていました(笑)
    二条城のどことなくのんびりとした雰囲気が好きで、その後京都に住むようになってからもよく遊びに行ったので懐かしいです。

    • さえ より:

      papermoonさん
      おはようございます♩
      papermoonさんは、京都にもお住まいだったんですね。
      二条城、わたしは初めてでした。もしかしたら修学旅行で行ったのかも知れませんが、覚えていなくって。
      うぐいす張り、うぐいすの鳴き声が響く風情のある廊下だと思いますよね~(笑)
      二条城、懐かしい場所なんですね。
      確かにお城なのにのんびりとした雰囲気がありますね。当時は戦々恐々としていたのかも知れませんが、お城もゆったり眠っているのでしょうね。

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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