言葉っておもしろい。
年越ししたポルトガルはリスボンでの出来事である。
年越しの3日間は、カウントダウンイベントが行われるコルメシオ広場まで歩ける場所、フィゲイラ広場の目の前のホテルに宿泊した。
リスボンの中心とも言われるロシオ広場のすぐそばで、にぎやかで便利だが小さな広場だ。
馬に乗った人のブロンズ像があるから、彼が歴史的人物フィゲイラさんで、だからフィゲイラ広場なのだろうと勝手に思い込んでいた。
詩人カモンイスの像が立つカモンイス広場と同じように。
ホテルはとても洒落ていて、黒を基調にしているのに大きな木の葉と緑の実の装飾があちらこちらに施されていた。
「何の実だろうねえ」
夫に訊いてみたが興味はないようだ。
そうして過ごし最後となった元旦の夜、ほとんどの店が閉まっていると聞いていたのでホテルで食事をとることにした。
ワインも美味しくいただいて、チーズを頼むとドライフルーツやクルミなどとの盛り合わせになっていて、うれしかった。
「無花果、美味しいね」
夫にそう言った途端、わたしのなかで酔いとともにぐるぐると何かが回った。
「あ! 無花果」
「なによ」
夫はいぶかし気だ。
「無花果って、英語でフィグだよね」
「それがどうかしたの?」
「もしかして、ポルトガル語で」
そう。フィゲイラだった。無花果広場前のホテルだから、無花果の葉と実を装飾にしていたのだった。
そうしてひとつの言葉が繋がったときのうれしさといったら。
なぜフィゲイラ広場というのかは、帰ってきて調べてもわからなかったが、ブロンズ像はジョアン1世のものだった。
「ホテルフィゲイラリスボア」の玄関口です。
すぐ前にトラムが停まるとても便利な場所でした。
部屋の装飾は大きな葉っぱと木の実。
廊下は黒で統一されてとてもシック。
でも足もとにも部屋と同じ形の葉っぱの模様が。
バーの天井も、同じ形の葉っぱと木の実の模様で埋め尽くされていました。
元旦の夜のディナー。ほとんどのお店が閉まっていると聞き、急遽予約しました。
ポルトガルのセルヴェジャリア(ビアホール)などで人気の「ビトッケ」という料理です。夫が「ステーキ頼んだんだけど?」というとサーバントさんはにっこり。なかには分厚いステーキが。いたずら心いっぱいの逸品です。
そして、ワインをいただきながらオーダーしたチーズに「フィゲイラ」が添えてありました。ここでようやく気がつきました。酔っぱらうと頭が回ることもある(笑)
部屋から見下ろした元旦の朝のフィゲイラ広場。とても静かでした。
久々にブログを拝見。ポルトガルでの年末の街での様子を楽しませて頂きました。
「部屋の装飾は大きな葉っぱと木の実」「廊下は黒で統一されていて」そして「足元も葉っぱの模様」
と。素敵なホテルだったようですね。ポルトガルって気の利いたお洒落な国なんだ、と改めて思いながら、画面のすばらしさにコメントしたくなりました。
カメラアイっていうかアングルが素敵で。
エッセイスト、名カメラマンさえさんに乾杯!
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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