山梨県立文学館で開催されていた「金子兜太展」が24日で幕を閉じた。
その間、いただいたチケットで2回足を運んだ。
金子兜太(1919~2018埼玉県生まれ)
前衛俳句、社会性俳句の中心的存在として戦後を代表する俳人。生まれ育った秩父への思いや、小林一茶への共感などを根底に創作活動を繰り広げた。
太い書の文字も相まって、言葉の持つ強さ、インパクトに圧倒された。特に印象に残った句を揚げていこう。
春落日しかし日暮れを急がない
自らの老いと向き合い、いつまでも西の空に留まっているその命を詠んだ句だそうだ。
梅咲いて庭中に青鮫が来ている
冬枯れの庭に春の気配が漂う。そのとき青鮫がやってきたという句、らしい。兜太の目には、どんなふうに見えていたのだろう。
三日月がめそめそといる米の飯
めそめそといる三日月。か細く頼りなく薄く空に浮かんでいたのだろうか。それでも、我は米の飯を喰う。喰って、そんな弱々しい気持ちを吹き飛ばしてやる、といっているかのように読めた。
小鳥来て巨岩に一粒のことば
小鳥という小さな、取るに足らない存在の象徴。真逆の果てしなく大きな巨岩。そこに、一粒の、どんな”ことば”を残したのだろう。
金子兜太の俳句の、類を見ない言葉の強さ。意志の強さ。そんなものをただただ浴びて、歩いたのだった。
彎曲し火傷し爆心地のマラソン
原爆を詠んだ生々しいこの句も、代表句。反戦への強い思いを持ち続けたという俳人です。
「山梨県立文学館」外観です。
大きく「金子兜太展」とありますね。太い字体が似合う名前、俳人です。
振り返ると「山梨県立美術館」が。
南アルプス連峰も、頭を覗かせています。
駐車場からの遊歩道。
もみじが、紅葉していました。
駐車場は、銀杏並木。黄色く染まって、半分落ちて。
明野から見るのとは、かたちの違う鳳凰三山が見えていました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。