スミスキーという妖精(?)に魅かれているのだが、入手するには至らない。
ちょっと引っ込み思案で、隅っこが好きな奴らなのだ。
雑貨屋や、百貨店などで見かけると、そっと挨拶する。
「よっ、また会ったね。調子はどう?」「まあね」
彼らとは、そんな間柄を続けて行ければいいなと思っている。我が家にもすでに住んでいるのかも知れないが、探さずにいようと思う。
ウッドデッキに上がってくるアマガエルのけろじたちも、スミスキーではないが、デッキの板と板との隙間に入り込むのが好きで、隅っこに小さな身体をさらに小さくしている姿を目にする。暑い昼間、温度調節のために入り込んでいるだけなのかとも思ったが、陽が当たるところでも動かずにじっとしている子もいる。彼らとは言葉が通じないので、見守ることしかできない。しかし彼らは、ひと跳ねで自分の身体の5倍ほども飛べるのだ。不自由は何もないはずだ。雨の季節だし、水たまりにも羽虫にも事欠かない。
そんなけろじたちを見ていると、3人の子どもたちが、それぞれ自分のお気に入りの隅っこを持っていたのを思い出す。
いちばん上の息子は、大黒柱の影。末娘は、和室の押し入れのなか。真んなかの娘は、びっきーの小屋のなかによく入っていた。
わたし自身、床にペタッと頬をつけたひんやりとした感触を、憧憬とともにふと思い出す瞬間がある。
生きているものはみな、身体の一部をどこかにペタッとくっつけていることや、自分だけの空間であることに安心するものなのかも知れない。
けろじたちは、そんな忘れていたことを、ときに思い出させてくれる。
そこはまだ影もあるし苔もひんやりしていそうでいいけど……。
そこ暑そうなんだけど、水飲みたくならないの? 返事もせずに、日が暮れるまでこの場所を動きませんでしたが、翌朝にはどこかにでかけていました。
紫陽花は、青をますます濃くしています。
この夏初めて庭に、国蝶オオムラサキが飛んできました。薪の上です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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