5月20日頃を境に、マドリードに、そしてピントに夏が来た。知らなかったが、マドリードでは4月後半に雨期があるらしい。それが今年に限り5月20日までと長くずれ込んでいたようだ。
いきなり30℃を超える真夏の暑さがやってきたが、車社会の山梨とは違い、どこへ行くにも徒歩だ。
買い物も、夕食にバルに行くのも、歩いていく。午後9時頃まで日は沈まないし最高気温になるのが午後6時~7時。夕方涼しくなった頃、というのがない。
そんなとき片蔭に、ずいぶん助けられた。
「片蔭(かたかげ)」は三夏の季語。傍題に「片かげり」「夏陰」などがある。
炎天下、建物や塀などに沿って道の片側にできる、くっきりとした日陰。道行く人は暑さを避けて、その陰になった涼しい所を通ったり、そこで休んだりする。
*「蔭」は樹木の陰に対して使うので用字は本来は「片陰」が適切だが、俳句では慣用的に「蔭」の字が多く用いられてきた。
『俳句歳時記・夏』より。
片蔭を行き遠き日のわれに逢ふ 木村燕城
炎天下、地面からゆらゆらと熱気が揺れて上がるようにも見える日の片蔭には、ホッとすると同時に異世界の空気が漂う。逢うはずのない遠き日の自分にだって、逢えるかもしれない。
片陰の窓に出てゐる腕(かいな)かな 槐太
選んで歩いていた片蔭に、不意に生々しい腕が出ているのを目にした。その光景が目に浮かんだ。片蔭に似合う、女性の白い腕だろうか。
片陰をひらひら来るや秘書課の娘 本井英
秘書課の娘のイメージが「ひらひら」という擬態語により、さらに膨らんで、片蔭を選び歩いてくる細身の若い女性を容易に想像できる。
みつ豆や銀座漸く片かげり 岸風三楼
夏の季語である「みつ豆」に”や”をつけて強調しているので「みつ豆」が主季語だろう。銀座とみつ豆と片かげり。涼しげで楽しげな情景がくっきり浮かんだ。
蔭には、暗かったり儚かったりするイメージがつきまといがちだが、片蔭はホッとする場所である。蔭のイメージと心地よさとを、どう詠めばいいのか。
ピントで一日一句、とはいかなかったが、海外にいる割には俳句に近い暮しをしていたように思う。帰国したら、日々歳時記を開くつもりだ。

細い片蔭ができていました。灼熱の太陽をものともせず闊歩する女性。

エヒード公園前の道の片蔭。この片蔭は助かりました。よく歩きました。

アパートメントから徒歩1分もかからないスーパー「Dia」のまえにも片蔭。路上駐車の車たちも涼んでいるかのよう。

写真展最終日、遠回りして歩いた「3月8日公園」。

シエスタの時間、蔭で遊ぶ親子が数人いました。

木漏れ日が、気持ちいい。「木漏れ日」は季語じゃないんですよね。

楓の木かな。「若楓」は、初夏の季語。
若楓硯のうへを風とほる 長谷川櫂
ご無沙汰してごめんなさい。
疲れは少し取れましたか?
片陰・・・・かたかげって素敵な季語ですね。
知りませんでした。日本語って優雅ですね。
どの句も素晴らしい!
片蔭を行き遠き日のわれに逢ふ 木村燕城 この句が一番好きです。
強い日差しの日は信号機の柱一本でも小さな日陰ができます。
そこに移動して少し日差しを避けて立ちます。
私がブログで引用させてもらっている俳句のページです。
ちょっと見にくいところもあるのですが・・・・。
http://www.haisi.com/saijiki/index.htm

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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