5月の句会で、メンバー全員分の月見草の苗を持ってきてくださった方がいた。
白い花をひと晩だけ、咲かせるそうだ。
「黄色かと思ってた」「わたしも」
みな口々に言い合う。一般的に「月見草」と呼ばれているのは黄色い花を咲かせる「待宵草」で、それとはまったく違う花なのだそうだ。
「白く咲いて、ピンクになるの」
よく意味がわからぬまま、庭に植えた。
それから、25日目の夕刻、庭仕事をしていて、白い蕾が膨らんでいることに気づいた。
「今夜、咲くかも」
見逃すまいと、風呂上がり、夕闇が落ちる前に見にいくと、果たして咲いていた。
白い四枚の花びらは、葉に比べて思いのほか大きい。四つ葉のクローバーのように、四方に開いている。その白は、眩しいほどだ。中心には、うすみどりの蘂が何本か揺れている。
可愛い。もう、清楚とか可憐とかいう言葉が追いつかない。
「ほんとうに、今晩だけしか咲かないの?」
明日も見たいという気持ちで、いっぱいになった。
そして翌朝には、見事に変身して、人の心を魅了するのであった。
5月16日に、いただいた苗です。
森の花壇に植えました。
6月9日。庭仕事をしていた夕刻17時半、蕾が膨らんでいることに気づきました。
18時半。風呂上がりに見にいくと、咲いていました。
一眼レフを構えてみましたが、夕風に揺られて、なかなか写真に収まってくれません。
こちらは、コンデジで撮ったもの。
夫が一眼レフの設定を変えて、撮り直してくれました。
開くとき蘂の淋しき月見草 高浜虚子
翌朝7時半。花がしぼんで淡いピンク色になっていました。
不思議すぎる。可愛すぎる。
そして夕刻5時。かたくしぼんだ花は、ピンク色を濃くしていました。
月見草は黄色だと信じ切っていました。
本当は白いい花だったのですね。
そして、さえさんが咲く様子を刻々と記録してくださったお蔭で見ることができました。
翌朝はピンクになるのですね。
ドラマティックな月見草、育ててみたくなりました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。