梨・柿・林檎が、旬を迎えている。
どれも、秋の植物の季語だ。傍題も多く、品種の多さを物語っている。
「梨」には、「有りの実」というおもしろい傍題もあった。
有りの実はナシが「無し」に通じることを嫌った忌み言葉。
『俳句歳時記・秋』から。
梨むくや甘き雫の刃を垂るゝ 正岡子規
描写の巧みな句。
勉強部屋覗くつもりの梨を剝く 山田弘子
こちらは、梨を剝くという行動の意味を詠んだところに惹かれた。思春期、反抗期の子と母親の距離感が伝わってくる。
「柿」には、山梨に越してきてから知った「熟柿(じゅくし)」という傍題があった。甲州弁では「ずくし」と発音する。木に生ったまま完熟したものだと歳時記にはあったが、以前柿をいただいた農家さんからこんなふうに言われたことがある。
「テーブルに置いといて、ずくしにすりゃいい」
切り株において全き熟柿かな 飯田蛇笏
切り株の上の、崩れるほどやわらかく赤い柿が見えるようだ。
村見尽くして夕晴れの木守柿 廣瀬直人
木守柿(こもりがき)は、翌年もよく実るようにと、1,2個捥がずに残しておく柿のことだそうだ。それが熟柿になるのだろう。
「林檎」は、以前「はさみ」という詩を思い出したことを俳句を交えかいていた。
母が割るかすかながらも林檎の音 飯田龍太
ちょっと高価で特別な感じを持つ梨。それよりも、身近な林檎。そしてさらに、風景に溶け込んでいる柿。
俳句を味わうと、そんな秋の果物の特性が見えてくる。
梨は、長野の南水梨。太鼓判とありました。
甘くてやわらかかった。太鼓判とは、14度以上の糖度を持つ梨につけられる最高のランクだそうです。値段、同じだったんだけど。甘すぎない梨が好きな人もいるってことかな。
柿は、山梨産。スーパーで100円。甘かった。
明野町の林檎園で売っていた林檎。ジョナゴールドと、こうたろう。
ジョナゴールドは、ほどよい酸味でした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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