久しぶりに最寄り駅のJR中央線『穴山駅』を利用した。
穴山は、この春4月から晴れてスイカが使えるようになったが、無人駅だということに変わりはない。駅前に無料で停められる駐車場はあるが、そのほかには何もない。あるものを数えれば、トイレと自動販売機のみである。そこにスイカの自動改札機が導入されたのだから、画期的と言えなくもない。便利になるのはありがたいことだ。
だが少し便利になると、こうだったらいいのになという気持ちも湧いてくる。
特急あずさが日に何回か停まることもある韮崎駅ですら、駅前にコンビニも、銀行のATMもないし、売店も閉鎖されて今は自動販売機のみになった。
駅前で電車を待つあいだに用事を済ませられるのって、素晴らしい。行く途中に車を停めて用事を済ませればいいのだが、1時間に1本ほどの電車に乗り遅れたらと気が気ではなく、駅には早めにつくようにとコンビニをスルーすることも多いのだ。
「コンビニがあったら、あれ買っていくのに」
「お財布に千円しかなかった! ATMがあったらなあ」
そして無人の穴山駅には、ポストも交番も駅前にはない。娘を送り迎えしているときには、交番が駅前にあったら無人駅でも安心なのにとか、ポストの前でわざわざ車停めるの面倒だなとか、思ったものだった。
久しぶりに無人の穴山駅を利用して、思う。
利用する人が多い駅は、いろいろなもののニーズも多く、どんどん便利になっていったんだなと。そうやって街ってできていったのだろうと。
人の思いが、街を作っていくのだ。
しかしまあ、人の思いとは単純なものではない。北杜市に増え続けている大型太陽光発電も、森を不必要に開発している、利権優先になっているのではないかとの見方も一般的で、それだけとっても様々な立場や考え方からくる思いが絡み合っているのだとわかる。人の思いとはまっすぐなものだけではないのだ。
たぶんこれから先も、穴山駅前にコンビニができることはないんだろうな。
それだけはわかっても、街がどう変わっていくかはわからない。韮崎市、北杜市、あるいは日本の行方は、雲の行方のごとく流れていく。
見るからに無人駅っぽく、ぽつねんと建っている雰囲気の駅です。
韮崎市内なので、観光マップも韮崎市のものが。
スイカの機械は入場と出場とが並んでいます。不思議な感じです。
改札前の自動販売機も、スイカが使えるようになっていました。
乗車駅証明書発行機は、活躍を続けています。防犯カメラ設置してあるんだね。
降りる人の切符を集める集箱も健在ですが、かなりぼろぼろです。
階段を下りてホームに。エレベーターもエスカレーターも、当然ありません。
線路の向こうにはカンゾウのオレンジ色の花が咲いていました。電車が来ると自動アナウンスが流れます。それに合わせるようにウグイスが鳴いていました。
韮崎方面からトンネルを抜けて、鈍行列車がやってきました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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