森の暮らしである。日々、蝉が鳴いている。
朝夕には蜩が鳴き、日中はニイニイゼミが多いように感じる。
「蟬」は、夏の動物の季語。「にいにい蟬」は、傍題。ほか「みんみん」「油蟬」「熊蟬」。
「初蟬」は、その夏初めて聴いた蝉の声だろうか。朝鳴けば「朝蟬」夕方の「夕蟬」夜なら「夜蟬」。降るように鳴けば「蟬時雨」。鳴かないメス蝉は「唖蟬(おしぜみ)」。傍題も豊富だ。
やがて死ぬけしきは見えず蟬の声 芭蕉
閑かさやの句は有名だが、こちらは知らなかった。
死を前提としつつ、激しく鳴くことで短い命を全うする蝉を、詠んだ句だそうだ。
生きものの通りし暗さ蟬の穴 宮田正和
長い年月土のなかで生きてきて、成虫となり一週間ほどしか生きられないといわれる蝉。その穴の暗さがリアルに伝わってくる。
また、蝉の抜け殻「空蟬」も夏の動物の季語。「蝉の殻」「蝉の脱殻」などが傍題にある。
空蟬の一太刀浴びし背中かな 野見山朱鳥
背中に切られたような真っ直ぐな穴がある。それを一太刀浴びたと表現したところが、おもしろい。
それぞれに空蟬となる高さかな 横井遥
たしかに蝉の抜け殻は、思い思いの高さにある。こちらも、着眼点に惹かれる句。
すでに耳にするが、「蜩(ひぐらし)」は、秋の季語だそうだ。「かなかな」などの傍題がある。
ひぐらしをきく水底にゐるごとく 木内怜子
ツクツクホウシと鳴く「法師蟬」も秋の季語。
ツクゝゝボーシゝゝボーシバカリナリ 正岡子規
蟬の俳句には、なにか儚げな物悲しさを感じるような気がした。子規のおどけたような句も、然り。
蝉の声をBGMに聴く日々は、まだまだ続く。
庭の山法師に、蝉がとまっていました。たぶん、ニイニイゼミ。
夏蜻蛉も、行ったり来たり。たまに赤い子も見かけます。
庭で咲いているのは、女郎花。
桔梗の白バージョンも、咲きました。
小紫も、小花を咲かせています。
ノコギリソウ。
知らないキノコも。ヒラタケに似てるけど、たぶん食べちゃダメなやつ。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。