庭の草取りをしていて、久しぶりにカッコウの声を聴いた。
時鳥の「テッペンカケタカ」には毎朝目覚まし時計代わりになっているのだが(朝の4時!)、うちの辺りでカッコウはたまにしか耳にしない。
「郭公(かっこう)」は、夏の動物の季語。傍題に「閑古鳥(かんこどり)」などがある。
ホトトギスと似ているがやや大型の鳥。五月半ばに南方から飛来して秋に去る。低山や平地の樹林に棲息し、卵を頰白(ほおじろ)、鵙(もず)、葭切(よしきり)などに孵化させる托卵の習性は時鳥と同じである。鳴き声はカッコウ、ハッポウなどと聞こえるのですぐに識別できる。羽色は雄牝同色。
『俳句歳時記・夏』より。
うき我をさびしがらせよかんこ鳥 芭蕉
旅の途中だろうか。「憂(う)き」つまり憂いのなかに身を置く自分を、もっと寂しがらせてくれ、と郭公に呼びかけている。郭公の声に淋しさを募らせている様子が胸に響いた。芭蕉48歳の頃に編まれた紀行文『嵯峨日記』に収められているそうだ。
郭公や水の底まで石畳 廣瀬直人
郭公の声。人工の池か川か、水底にまで石畳が敷いてあることに気づいた驚き。この句にも、なぜだか淋しさを感じた。
焼き上がるベーコンサンド閑古鳥 篠沢亜月
『俳句歳時記・夏』に載っていた句だが、取り合わせのおもしろさに惹かれた。郭公の声を森のカフェテラスなどで聴いているのだろうか。なかなか思いつかない取り合わせだ。
郭公や夜明けの水の奔(はし)る音 桂信子
こちらはネットで見つけた句。夜明けの刻、郭公の声を聴いていたら、五感が研ぎすまされ、ほかの音もクリアに聞こえてくるようになったのかもしれない。「水の奔る音」から、そんな研ぎすまされた感覚を連想した。
鳥の鳴き声って不思議だ。そのときどき、聴く人の心持ちによってさまざまな捉え方になる。
そういえば、同じ花を見ても、同じ空を見ても、見る人の心持ちで違って見える。それが、俳句なのだった。

我が家にある野鳥の本。ミニ図鑑2冊は、25年以上前からあるものです。

カッコウって、こういう鳥なのね。声はすれども、見たことないなあ。

『トロノトリビア~鳥類学者がこっそり教える野鳥の秘密』は、4コマ漫画で楽しく野鳥の生態を学べるおもしろ本です。

句誌「郭公」。今年の2月号から購読しています。購読者は、毎月5句投句することができ、そのなかから選ばれた句が掲載されます。毎月楽しんで投句していますが、句会のほかに5句はたいへん。すでに息切れしていますが、時鳥に起こされた早朝などにがんばって詠んでいます。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。