長蛇の列だった蕎麦屋を後にして、とにかくアイス珈琲が飲みたいと思ったそのとき、カフェの看板が目に飛びこんできた。
正方形の鉄の看板は黒。細くシンプルな書体の白い文字。それだけで、美味しいアイス珈琲を飲み、ゆったり休めそうだと確信した。
「新小路カフェ」と読むらしい。
目論見通り、すっきりとした身体の中心にスーッと入っていくアイス珈琲を飲むことができた。
ホッとひと息つき目の前を見ると、なんととても親しい小説たちが並んでいるではないか。通されたのは壁際のカウンター席で、棚には文庫本が並べられていたのである。
「なんで、北村薫と伊坂幸太郎が隣り合わせ?」
(両方とも、昔夢中になって読んだタイプの違う作家)
「朝井リョウの『何者』、三浦しをんの『きみはポラリス』、ピンポイントで家にある 文庫本が一冊ずつ」
「シェルパ斉藤は、北杜市在住だし」
「横山秀夫、真梨幸子、荻原浩、沢野ひとし。昔、何冊か読んだわ~」
シンクロニシティだと、合点する。
偶然はけっこう頻繁に起きているものであり、シンクロするかしないかはそれに気づくか否かにかかっている。気づかなければ、その偶然は起こらなかったものと同じで認識されない。シンクロニシティとは、偶然を認識することで起こる現象だ。
東野圭吾の『夢幻花』に、かかれていた。
たぶん、ほかの人は自分が読んだ違う小説の背表紙を見て、ああ、これ読んだわ、家にあるなとか思うのかもしれない。
それでも、思わずにはいられない。
なにか、ここに縁があったのだと。
この鉄の看板と同じものが、通りにもありました。
いい感じのカフェ外観。暑さが伝わる1枚。
このアイス珈琲に救われた~♩
見上げると、目の前には好きな作家、読んだ小説、家にある小説などがずらり。
本棚には、ゆったりと様々なものが飾られていました。
カレーを食べてゆったり休憩して、元気回復。JR長野駅まで15分ほどの道のりを、雑貨屋さんをのぞきつつ歩きました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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