セキレイは、よく見かける野鳥だ。
庭で、道路で、堰で、スーパーの駐車場で。
多くは、たったったった、と走っている姿。そして、止まっているときには、尾っぽをせわしなく上下している。
ついこのあいだも、いつもの富士山スポットで見かけた。
「鶺鴒(せきれい)」は、秋の動物の季語。傍題に「石叩き」「庭叩き」「背黒鶺鴒(せぐろせきれい)」「白鶺鴒(はくせきれい)」などがある。
長い尾を持ち、尾を上下に振って石や地面を叩くように見えるところから石叩きや庭叩きの別名がある。
「石叩き」になるほどと思うのは、セキレイの「セキ」に無意識下に石をイメージしていたからか、道路や堰など石のような場所にいる姿を見かけていたからか。
『俳句歳時記・秋』の例句。
鶺鴒のとゞまり難く走りけり 高浜虚子
同感だ。セキレイは、留まってはいない。常に動いている。走っている。
すべすべの石をよろこび石叩き 大石悦子
これは想像だが、セキレイはすべすべの石を悦びそうだ。思わず頬が緩む句。
ちなみに「七十二候」では、「鶺鴒鳴(せきれいなく)」は9月12日頃。セキレイが鳴き始める頃。むかしは北海道や東北だけで繁殖し、秋になると本州へやってくる野鳥だったらしい。今では関東地方でも、四季にかかわらず見られる野鳥となっているという。
ここ山梨でも、さまざまな季節でよく見かける。見かけると、「あ、可愛い」とワクワクする小鳥である。
あ、セキレイ。見つけてすぐにバチバチ撮りました。ハクセキレイですかね。
走る走る。待って待って。
ピントも合わない。
えっ、どこいった?
いた!
あ~ん、こっち向いてよ。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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