11月の句会の兼題は、どちらも冬の季語「小春」と「風邪」。
「小春」は、時候の季語で、傍題に「小春日」「小春日和」「小六月(ころくぐわつ)」(旧暦十月の異称)などがある。
句会で教わっている井上康明先生の句が、『俳句歳時記・冬』の例句にあった。
半眼の大鹿坐る小六月 井上康明
時候の季語「小春」を詠んだ句は、大きく2種類に分かれるという。
井上先生の句のように、小春日の風景を詠むケース。
もうひとつは、以下の句のように、小春日和そのものの雰囲気を詠むケース。
玉の如き小春日和を授かりし 松本たかし
小春日和を、まるで赤ん坊を授かったかのような言葉でやわらかく詠んでいる。
「風邪」は、生活の季語。傍題は、「感冒」「流行風邪」「流感」「風邪声」「鼻風邪」「風邪心地」「風邪籠」「風邪薬」「風邪の神」などと多くある。
里の子と路に遊べり風邪の神 石井露月
季語「風邪」は、風邪をひいた子、あるいは自らを詠む句が多いなか、傍らに居るような「風邪の神」を主役に置いている。
句会では、どちらの季語を詠んだ句も、身近な題材を置いたものが多かったように思う。
32句の評を聴き感じたのは、「日常のワンシーンがイメージできる」「対比がおもしろい」「季語がぴたりと合っている」などが大切だということ。
描写については、点検する大切さを教わった。
「まず、対象に近づいてよく観察する。そこから、少し離れてふたたびよく見る」
「木を見て森を見ず」ということが、ままある。
視点を変えて、目を凝らす。そうすれば、見えてくるものもまた違ってくるだろう。
わたしの句は、こちら。
天井の笑ふ木目や風邪ごもり
12月の兼題は、冬の季語「冬の夜(よ)」「セーター」。ふたたび時候の季語と、生活の季語だ。
小春日和っぽい写真を探しました。でも、窓の外には雪が。2月の写真でした。
義母にプレゼントしてもらった赤いショール。
こちらも、なぜか赤い色の「小春」を連想させる一枚でした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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