今年も、「手話まつり」の告知記事をかいた。
その取材も兼ね、日曜日のバザーのお手伝いに行った。
久しぶりの雨だったが、甲府駅前で行われている月に1度のマルシェ「ソライチ」はにぎやかだった。
バザーには教室の先輩たちもお手伝いに来ていて、聴覚障害を持つ高齢のろう者も集まり、和やかに立ち話をしている。
手話を言語とする方と手話でしゃべるのがいちばんの上達法だということはわかっていながらも、臆してしまい話しかけられず、バザーのお手伝いに精を出す自分を情けなく思うのも、いつものことだ。
しかしその風景がいつもと変わって見えたのは、取材した手話教室の先生のこんなひと言だった。
「手話で思いっきりしゃべれる機会や場所ってなかなかないから、ろう者がこうして来てくれておしゃべりしてくれているのがうれしくて」
ハッとした。
手話が下手だからとろう者に話しかけられない自分。だが耳が聴こえなければ、買い物に行っても役場に行っても、どこへ行っても言葉が通じない不安を抱えていなければならない。他愛ないおしゃべりすらできないことも多いのだ。
「楽しそう」
手話でわいわいとしゃべるお年寄りたちは、心から楽しそうに笑っていた。その手話は読みとれなかったけれど、楽しいのだろうということだけはわかる。
先生は、そんな様子をあたたかなまなざしで見つめていた。
バザーはそんな場所を作るために続けているのだと、手話教室に通い始めて3年が経ち、ようやく知ったのだった。
昨年の「手話まつり」手話教室のみなさんのお雛さま。華やかですね~♩
手話教室の遠藤先生です。手話の「ありがとう」をやっていただきました。
お相撲さんが賞金をもらうときにする手刀からきています。覚えてくださいね!
☆『地球の歩き方』北杜・山梨特派員ブログ、更新しました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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