最終回、5回目の俳句講座のお題は「秋風」だった。
「紫陽花」「大暑」「盆」「月」ときて「秋風」。6月から夏を通り越してきただけに、5回だけの講座だったが、季節の移ろいをたしかに感じることができた。
秋風、秋の風は、「素風(そふう)」「金風(きんぷう)」とも呼ばれる。
素は「白」を表し、芭蕉は秋風をこう詠んでいる。
石山の石より白し秋の風 芭蕉
『奥の細道』のなかでも「那谷寺」で詠んだ句だという。
まだ暑いうちに吹く秋の初風も、秋を知らせる風「荻(おぎ)の声」も、晩秋の身にしむような冷たい風も、すべて「秋の風」であり、それを踏まえ、どんな風なのかをしっかりと考えて詠まなければならないと教わった。
テキストのなかにあった「蕭々(しょうしょう)と」という言葉に、初めて触れた。
1 もの寂しく感じられるさま。
2 雨や風の音などがもの寂しいさま。 デジタル大辞泉より
古今集の頃から、晩秋の風には、もの寂しさ、もの思いを詠むようになったそうだ。
並べられた秋風の句でいちばん好きだったのは、生活感溢れるこの句だった。
秋風や柱拭くとき柱見て 岡本眸
「俳句は日記」と言っていた俳人だという。
わたしの句は、こちら。
秋風や枯れ野に遊ぶ玉箒(たまばはき)
今、隣の森では、高野箒(別名玉箒)が線香花火のような花を細い枝の先で揺らしている。まだ秋浅い風に、一枝にひとつの花しか咲かせない高野箒がそれぞれ自由に咲かせた花を揺らしている様を詠んだつもりだ。
森に咲き乱れいている高野箒(コウヤボウキ)です。秋風に揺れていました。
「箒」という名に似ず、可愛い。
あちらこちらに、たくさん咲いています。乾いた林に根付く植物だそうです。
森では、漆が紅葉して。
どんぐりや松ぼっくりが落ちています。
トイレの一輪挿しに、活けました。蕾も線香花火の玉のよう。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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