庭野の野蒜を、この時期たまに葱の代わりに使う。
野蒜は、ユリ科ネギ属の多年草。
にんにく、ニラ、葱、らっきょう、そして野蒜を、 「五葷(ごくん)」といい、仏教では、欲情や怒りの心を起こすとして食べることを禁じていたという。
そんなパワーのもとでもある野蒜。
小さいので下処理がたいへんだが、葱を切らしたときなどには重宝するし、また違った味わいが楽しめる。
特に好きなのは、焼いた厚揚げに、味噌と共にのせる食べ方。
ただ刻むだけ、ただ焼くだけの簡単レシピだ。
「野蒜」は、『俳句歳時記・春』にもある春の季語だ。
「野蒜摘む」という子季語(傍題)も載っていた。ネットによれば、山蒜(やまびる)根蒜(ねびる)沢蒜(さわびる)小蒜(こびる)などもある。
一と鍬に野蒜の白き球無数 川島彷徨子
ネットをぐるりと見ていき、好きだった句だ。
春の代表的な食用野草の一つで、茎と鱗茎を生食したり、お浸し、・酢味噌和え・胡麻和えなどにする。
『俳句歳時記・春』にはこうあったが、畦の栄養がゆきとどいた野蒜と違って、茎の細い我が家の庭の野蒜。お浸しなどには、したことがない。
今の世の中、野蒜を摘んで食べる人はそう多くないだろう。
俳句を詠むとき、あるいは味わうときに、ああ、これは昔とは違うんだろうな、現代にはないシーンだなと思うことも多々あるけれど、そうやって想像の翼を広げるのもまた、愉しい。
大きい野蒜はいいんだけど、小さなものは、洗うだけで手間がかかります。まさに「白き球無数」ですね。
これは以前大量に収穫したときの写真。美しいわ~
刻んで味噌と合せて。こうして刻んでおいておいたら、かたまってしまいました。粘り気が強い。
焼いた厚揚げにのせて食べるのが、大好き。最近好きな厚揚げは相模屋の「焼いておいしい絹厚揚げ」です。
おむすびに入れたり。
サッカーの試合に持っていくという夫の分は、海苔を巻き、わたしはお昼に直前に海苔を巻きたいので、そのままで。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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