すずらんの森へ行った帰り、同じ芦川町の百番観音を詣でてきた。
石仏好きの夫が、近くまで行くのならと調べていたのである。
「宝珠寺(ほうしゅじ)百番観音」は、百体の観世音菩薩像が集められている場所で、背の高い木々が茂った寺の裏山の急斜面に石の観世音さまが並ぶ姿には、なにか清々しいものを感じた。
いいところだな、と思い『地球の歩き方』で紹介することにする。
そうなると、欲しいのは横長の写真だ。記事に使う写真は、横長と決められている。
彼は彼で、無心に自分の写真を撮っている。記事のために、写真を頼むことはしない。
急斜面をつかず離れず、観世音さまを拝んだり、写真を撮ったりしながら頂上を目指した。
夫はじっくり向き合い写真を撮るので、先を歩くわたしには待ち時間がたっぷりある。「大滝」のときのように、ずっと仕事モードということもなく観世音さまの静かな気のようなものと森のフィトンチッドを身体じゅうで受けとることができた。
さて。数日後、記事にしたいからと夫に写真の提供を頼むと、数十枚の写真を共有してくれた。いつものことだが、2/3ほどが縦長である。
石仏さまは縦長なのだから当然といえば当然だが、彼に縦長の写真を好む傾向があるのも事実だ。
今回、よーく見比べてみて、縦長の写真の良さがわかったような気がした。
素人の目でしかないが、なんというか奥行きが深いのである。
いつも横でしか構えないカメラを、たまには縦にしてみようか。そんな気持ちになった。
縦長ゆえに『地球の歩き方』の記事には使えなかったYasuoMaedaの写真を。
☆『地球の歩き方』山梨特派員ブログ、更新しました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。