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はりねずみが眠るとき

昼寝をしながら本を読み、ビールを空けて料理する日々

芦屋の浜

5月のことになるが、転んで腰を痛め入院していた義母が退院し、施設に入居することになり、手続きや引っ越しなどで毎週のように帰省していた頃のこと。

少し空いた時間にレンタカーを走らせ、芦屋の浜へ行った。

「うそ。海がこんなに近いの?」

「なにいうてんねん。ここは、神戸や」

そうだった。飛行機からはもちろんのこと、ポートライナーからも広がる海を目にしていた。なのに、神戸が海辺の街だということが、頭のなかでつながっていなかった。

 

神戸といえば、夫の実家があり、義母が暮らす街。

電車を乗り継ぎ、駅を下りて何度となく歩いた夫の実家までの道のりに、海を感じることはなかった。潮の匂いもしないし、急な坂道が多く、どちらかといえば山の裾野に広がる住宅街だ。芦屋はその隣町。こんなに近い場所に海が広がっているなどと、思ってもみなかった。

海辺の街で暮らしたことのない、そしてもう20年以上海なし県に住んでいるわたしにとって、とても新鮮で、胸のなかでなにかがはじけたようにうれしくなる出来事だった。

「気持ちいい~」

忙しい日々に消耗していた心と身体が、どこまでも広がる海の風景に、どれだけ開放されたことか。

 

義母は、新しい環境に少しずつ慣れ、自分らしい暮らしをと模索している様子。夏に娘が会いに行ったときには、楽しくおしゃべりしたという。

身体に気をつけて、毎日を大切に暮らしてくれればと思う。

きれいに整備された砂浜でした。

海の向こうには、街が見えました。

こんなふうに続いています。

砂浜を歩く夫。ほかに誰もいませんでした。

 

COMMENT

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  1. ユミ より:

    そうでした、山梨は海なし県なんですよね~
    そう思うと、地元は海も山もあってとてもいい所だと思うのに、
    ありがたみを感じる事無く見過ごして素通りしているな~って思います。
    神戸は港町だけど、芦屋にはこんな砂浜が広がるんですね。
    ちょっといつもと違う景色を見るだけでも、心が解放されてリフレッシュ出来ますね。
    どちらかというと海が近い家なので、山への憧れもあります。
    お義母さまも、少し離れているので気になる事と思いますが、穏やかな毎日を過ごしてほしいですよね。

  2. さえ より:

    >ユミさん
    そうなんですよ~海なし県。
    先日読んだ『イタリア田舎生活の愉しみ』のウンブリア州も海なし州で、中田英寿がいたペルージャもその州なんですが、山梨と似ていると言っていたそうです。
    ユミさんは、ちょっと車で走ると夕焼けの海が見られる場所ですものね~いいな。
    まあ、どこに住んでもないものねだりはあるんでしょうけれど。
    義母のこと、ありがとうございます。ユミさんも、お義母さま、新しい環境に馴染まれるといいですね。ほんと、穏やかな毎日を過ごしてほしいものですよね。

PROFILE

プロフィール
水月

随筆屋。

Webライター。

1962年東京生まれ。

2000年に山梨県北杜市に移住。

2012年から随筆をかき始める。

妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。



『地球の歩き方』北杜・山梨ブログ特派員

 

*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。

 

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