夫であるYasuoMaedaのlife is funカレンダー。2024年は、すべて2022年秋に旅したイタリアの写真で構成されている。
9月は、ローマの外れ、トラステヴェレ。そこで借りたゲストハウスの賃料には、朝食が含まれていて、毎朝チケットを持ってカフェ風のピッツェリアに通った。
もう帰国するという日曜日。近くの蚤の市(日曜市)を歩き、そのピッツェリアのテラスで休んでいると、やはり蚤の市を歩いてきたのだろうと思われる初老の紳士が座ったのだった。
写真は、その素敵なおじいさまだ。
海外のお年寄りは、お洒落でかっこいい。と、日本とつい差別化してしまう。誰がどうのではなく、自分がかっこよく歳をとればいいだけのことなんだけど。
さて。そのピッツェリアには、愛想のない女将がいた。
最初は何か怒っているのかとも思ったが、わたしたちの顔を見れば、「two cappuccino?」と声をかけてくる。「ゲストハウスのふたり。カプチーノ、2つね。わかってるから」といった感じだ。
日本人は、エスプレッソが飲めないと思っていたのかもしれない。実際、濃過ぎてミルクをたっぷり入れないと飲めなかったのだが。
その彼女は、2度だけわたしたちに笑顔を見せてくれた。
一度目は、桜の季節に日本を旅したのだとスマートフォンの写真を見せてくれて。
二度目は、夫が写真を撮らせて欲しいと頼んだとき。
蚤の市の日曜日。彼女が「two cappuccino?」と聞くようになってから3週間が経っていた。これから日本に帰ると伝えたのだが、彼女は別れるときも笑顔は見せなかった。ぷいっと店の奥に入って、そのまま出てこなかった。
言葉は通じなくても、淋しいと思ってくれているのだとわかった。
「ちょっと、見て見て」と、こっそり人にささやきたくなるようなかっこいいおじいちゃんでした。
クロワッサンとカプチーノの朝食。
ブラジルの国旗がはためく店内。
ローマのファーストフード、切り売りピザも何度か食べたけど、美味しかった。
ゲストハウスがあったビルです。
トイレその1日比谷花壇のカレンダーは「individually」。ひとつひとつの、個々に、という意味かな。
トイレその2「ヨーロッパの古城と宮殿」は、チェコのチェスキークルムロフ城。
旧市街やお城があるチェスキークルムロフの歴史地区は世界遺産。塔の162段の階段を上ると、川向こうの街並みが一望できるそうです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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