「十和田市現代美術館」を訪ねた日は、奥入瀬渓流近くの蔦温泉旅館に宿泊した。
千年の秘湯と呼ばれ、久安3年(1147年)には湯治小屋があったことが文献に記されているそうだ。
足もとから湧き出てくる温泉は、日本でも珍しいという。
さらりとした身体にまとわりつくことのない、けれど芯から温まる熱い湯だった。
なにか自分のなかの悪いものが浄化されていくような、すっきりとした気持ちになった。
2つある温泉と、地元の旬のものをていねいに料理した夕食を堪能して、翌朝は早く目覚めた。
後から振り返ると、この旅ですっきりと青空が広がったのは、この朝だけ。午後には土砂降りのなか歩き、ずぶ濡れになったのだが、そんなことはつゆとも知らず、晴れた~と朝食前に散歩に出かけた。
蔦温泉旅館周辺には、5つ沼がある。
そのうちのいちばん大きな蔦沼へ続く遊歩道を、散策した。
ブナの大木が並び、蔦の絡まる木々がうっそうとした森を作っていて、遊歩道の両脇には川と清水の中間のような水の流れがあり、足もとには苔や名も知らぬ草花が生き生きと息づいていた。
「これ、ミズヒキの仲間かな」
「こっちは、コンフリーに似てる」
「咲き終わってるけど、フタリシズカっぽいね」
「蕗って、こんなに大きくなる?」
とりとめもない会話をしつつ歩いていたら、オオバコが繁っていた。一瞬、知らない植物に見え、不思議な気持ちになる。
いつも見ている草花にも、知らない顔があったようなそんな感覚。
湿地でのびのびと葉を広げたオオバコは、森と一体になり惜しげもなくフィトンチッドを放っていた。
蔦温泉旅館です。翌朝は青い空が広がりました。
蔦沼まで、徒歩でしか歩けない遊歩道がつながっていました。
森の小径を散策。
両脇を、水が流れていました。
知らない花が、いろいろ咲いていました。
遊歩道を作る石たちも、苔生していました。
ブナの大木を見上げる、友人。
15分ほどで、蔦沼に到着。
トンボが、いっぱい。人なつっこい。
帽子にもとまってるよ、と友人が撮ってくれました。
散策を終えて、バイキングの朝食をいただきました。青森名物の「味噌貝焼き」もありました。
青森涼しかったですか?
思ったより暑かったでしょう。
さえさん、ステキな帽子!
赤とんぼ私もよく見かけます。
まだこんなに暑いのに秋はやってきているのでしょうね。
バイキングの朝食、味噌貝焼きがある!
大きなホタテの貝にだし汁と味噌を入れて魚介類を入れ、たまごでとじることも。
母も小さい頃は大きな貝で煮て食べたそうです。
秋田の郷土料理の一つの『かやぎ・またはかやぎっこ』は貝焼きがなまったものです
夏が終われば、すぐに寒くなり、熱々のかやぎっこの季節になりますね。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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