神戸空港から松本空港に降り立った朝は、夫の誕生日だった。
帰り道、諏訪の「角上魚類」で、刺身を買って帰ろうということになる。誕生日だからちょっと豪勢にしてもいいか、疲れてもいるので夕飯は刺身で簡単に、という目論見などがないまぜだ。
松本空港から、中央高速で約1時間で明野の我が家まで帰れる。
「角上魚類」は、途中諏訪で高速を下りた辺りにあるのだが、今回は長野道の分岐である岡谷ジャンクションがリニューアル工事中。工事渋滞を避け、手前の岡谷で下りることにした。
岡谷は、去年「土偶に会いたい!」シリーズの取材で回った土地。
なつかしく、この先にあの考古館があるとか、ここで鰻食べたとか話しつつ、諏訪湖のほとりを走った。
街道沿いの酒蔵で日本酒を買い、諏訪湖から少し逸れると、5分も走らないうちに「角上魚類」。
「えっ。ここって、こんなに諏訪湖から近かったの?」
毎度のことであるが、方向音痴オリンピック金メダル候補のわたしは、位置関係をまったく把握していなかったのである。
諏訪ICから向かう「角上魚類」と、岡谷ICから向かう「角上魚類」が、脳内でまるでつながっていなかった。
夫に呆れられつつも、2枚の地図が頭のなかでつながった喜びを噛みしめた。
地図の見えない部分を靄がかかったまま放置する癖を、あらためなければと思いつつ。
「角上魚類」へ向かう途中、諏訪湖の街道沿いの酒蔵「舞姫」で、お酒を選びました。
厳選して「翠露」を2種類、購入しました。
鯛と、鮪と、赤貝の夕餉。
山梨ではなかなか手に入らない半生の蛸があったので、唐揚げにしました。
冷蔵庫にあった蒟蒻で、煮っ転がし。
厚揚げ焼きで、まったり飲みました。
刺身の皿は、去年、夫が選んで購入したものです。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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