正月3日、すき焼きをした。
「豚すきで、いいよね~」と言いながら、スーパーを歩き、結局「お正月だからね」と牛をひとパック買う。初詣の帰り、正月ならではの夫婦で買い出しだ。
「足りなかったら豚ね」と、豚ロース肉もひとパック。
「あと、エノキ」「舞茸にする?」「シメジもいれちゃう?」
「葱あったっけ」「1本半ある。極太葱」「じゃあ、いっか」
「卵は?」「たしか、5個あったはず」「卵は足りないと何だから、買っていこう」
などと、のんびりモードで買い物を済ませた。
その舞茸が、美味かった。
「これ、肉と似てる! 酔っ払ってたら、肉のつもりで食べちゃうかも」
わたしが、舞茸せっせと食べていると、夫も言う。
「昔、肉なしのすき焼きやったことがあって、それでも誰か、肉が美味い美味いって食べてたことがあったなあ」
学生時代の話らしい。
そんな我が家のすき焼きは、関西風。
肉を焼き、砂糖、醤油、みりん、酒で味つけして、白菜をたっぷり入れる。
葱、きのこ類、白滝、焼き豆腐、お麩。最後に、春菊という流れだ。
「鍋奉行」は夫で、わたしはもっぱら「マチ奉行」。
といっても、野菜を切ったり麩を戻したり、卓上ガスコンロを出したりするのはわたしの役目だから、ゆっくり待たせていただく。
ちなみに仕切りの「鍋奉行」ほかは、火加減を調節する「火消し」、灰汁取りの担当「アク代官」そしてただただできあがりを待つ「マチ奉行」と役割分担があるらしい。
「マチ奉行」のわたしにも、こだわりはある。
器に入れた卵を溶かないこと。まず黄身だけに肉をつけて食べたいのである。夫がこれでもかっていうほど混ぜているのを横目で眺めつつ。
正月3日にすき焼きするのは、夫の実家、神戸での慣わしからきたのだけれど、御節のあとは、なぜかすき焼き、食べたくなるよね。
舞茸のほか、シメジも入れました。普通はエノキにするんだけど。
ラスト、春菊を入れて、煮立ったらできあがり。テレビを観ながら、炬燵ですき焼き。
最初は卵を溶かずに黄身にお肉をつけて食べるのが、わたし流です。
舞茸って、見た目より歯ごたえがいいですよね~堪能。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
*このサイトの文章および写真を、無断で使用することを禁じます。
管理人が承認するまで画面には反映されません。