還暦の誕生祝いにと、上の娘から届いたのは食のカタログギフトだった。
「こういうのが、いちばんうれしいかもね」
「そういう歳になったってことかな」
夫と、話した。
選んだのは、鰻だ。普段、自分では買わないものにしようと蟹とどちらにしようかと悩んだ末に決めた。浜名湖のものだという。
夫の手術入院が決まっていたので、退院した頃に届くのも、プチタイムカプセルのようで、うれしかった。
そして、ようやく夫婦ふたりのランチに、うな丼にしていただいた。
浜名湖の鰻は、弾力がありしっかりとした歯ごたえの逸品だった。
時同じくして、娘からLINEがあった。
「さつまいもの天麩羅は、何分揚げるの?」
「3分くらいかな。箸を刺してすっと通ればOKだよ」
そして、翌日。
「天麩羅、美味しかった。お母さんの味が再現できた」
との報告。
そういえば、子供たちは3人とも、さつまいもの天麩羅が好きだった。揚げる先から競うように食べていたっけ。大人だけの食卓になり、天麩羅にさつまいもを揚げることがなくなっていた。
引き継がれたというほどの母の味ではないけれど、こうして食卓は継がれていくのだとあらためて思う出来事だった。
これです。浜名湖の鰻にしました。
しっかりと歯ごたえを感じる、とっても美味しい鰻でした。
天麩羅の夕餉に庭で収穫したふきのとう。
14個ありました。完食(笑)
ふきのとうは、まだこれからも楽しめそう。
その隣で咲き始めたクリスマスローズ。
紫の子は、まだ蕾です。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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