夫からリクエストされる定番メニューのなかに、ポークソテーonビネグレットソースがある。そのリクエストの際、彼はいつも言ってくれる。
「たいへんだったら、ただのポークソテーでもいいよ」
いく種類もの野菜をみじん切りにして作るソースは、見るからに手間がかかりそうだと思うのだろう。しかし、わたしはいつも笑って請け合う。
「だいじょうぶだよ。ビネグレットソースにするね」
この手間がかかりそうに見えるソース。じつはけっこう気楽に作れるのだ。
トマト、パプリカ、玉葱、ピーマン、ニンニクを入れるのが我が家ではスタンダードなのだが、みじん切りにするのはニンニクひとかけらのみ。あとはすべて粗みじんでOKだ。この粗みじんというのが、気楽さの素。何だってそうだと思うが、完璧にやろうと思うと緊張する。しっかりみじん切りにしなくてはならない料理と粗みじんの「まっこのくらいでいっか」という料理では、緊張の度合いが違うのだ。
「美味しいね」と言い合って食べるときに思う。
突き詰めて完璧を求めるだけが、いいって訳じゃない。特に家庭のなかの仕事は、粗みじんくらいがちょうどいいのかもって。
帆立のカルパッチョ、ブロッコリーのサラダとワインの食卓。
添えてある茄子は、町内の産直野菜売り場で買った茄子。
手がきのレシピに、ロッサビヤンコとカプリスという名が。
次の日の朝食にも、余ったロッサビヤンコにソースをかけました。
目玉焼き、失敗したあ! でも胡麻油が香ばしく美味でした。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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