週末帰省した神戸でのこと。
義母が、久しぶりに外食がしたい、できれば揚げたての揚げ物が食べたいと言うので、串揚げを食べに行った。落ち着いた雰囲気でゆったり楽しめる場所をと、ポートピアホテル内の『神戸串あげSAKU』を選んだ。
生ビールで乾杯し、義母ご所望の揚げたて串揚げを頬ばる。
「ひと口で、食べなさんな」
心配してのことか、夫が義母に言う。
「かぶりつくのが、美味しんやない」
義母は義母で、さらりと返す。
こういう姿を見ていると、実の母と息子なのだなあ、それも関西のと思う。
「ワイン、白にしますか、赤ですか?」と、夫。
「赤はポリフェノールがどうので身体にいいって言うけど、白が好きなの。身体にいいかどうか知らないけど、好きなものを飲みたいのよね」
義母は、きっぱりと言い切る。齢84ともなれば食に対するこだわりも半端ではない。わたしなどは白もいいな、でも赤もいいなとすぐに迷い道ふらふらする。
串揚げ10本コースを平らげ、それぞれ追加で1本ずつオーダーしたときにも、わたしや夫は食べてないものを頼んだのだが、義母は、やはりきっぱり。
「海老で終わりたい」
海老はコースの最後の1品だった。義母は海老ダブルで、白ワインに舌鼓を打ち、大満足だったようだ。
こういうこだわりも、大切だなと思った。食べることにこだわるって、楽しんで生きることなのだと義母を見ていて思えた。
次回わたしも、義母を真似てきっぱりと言ってみたい。
「海老で終わりたい」
でもやっぱり、優柔不断に迷いそうだな。
アミューズはトマトの茶碗蒸しでした。トマトの茶碗蒸しなんて初めて。
ポワロ葱からスタートしました。真ん中のソースでお召し上がりください。
タレは、左からゴマダレ、特製ソース、ポン酢。鶏肉です。
鰤には、大根おろしと柚子がのせてありました。左は堀川牛蒡。
ラストの車海老です。尻尾もカリッと揚がっていました。
なんとデザートも、串揚げ。白玉団子でした。とろけるやわらかさ!
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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