月始め恒例、YasuoMaedaのlife is funカレンダー。2026年のテーマは「街の灯」。夜の街。街の灯のぬくもりを感じる写真となっている。
5月は、スペインの首都マドリード。この写真は、2013年に旅したときのものだ。すでに13年前になる。今はもう、このバルがあるのかすらもわからない。
そんな夜の一枚が切りとられ、こうしてカレンダーの写真となっていると思うと、捲ったカレンダーからファンタジーの世界が広がっていきそうに思えてくる。
そのバルのことで覚えているのは、翌年、旅の初めと終わりと2度訪れたということだ。
旅の初めにカウンター席でビールやワインを飲み、カウンターでカクテルなどを作るバーテンダーに見とれていた。控えめで、なにしろ所作が美しく、目が合うと微笑んでくれる。
夫が、彼の作っているカクテルを観て「ピナコラーダ」と、つぶやいた。
彼は「ビンゴ!」とでもいうように、親指を立て、ウインクした。そして、そのピナコラーダの残りを小さなグラスに注ぎ、すっとわたし達の前に置いてくれたのだった。
旅の終わりにドアを開けたときには、一週間前に一度飲みに来ただけのわたしたちのことなど覚えていないだろうと思っていたが、満員のカウンターの隅に座ると、彼が握手を求めてきた。
「やあ、また来てくれたんだね」
そんな表情をしていた。
帰り際、彼がふと外を見てつぶやいた。「lluvia(ユビア)」
覚えた単語のなかの一つ、雨のことだ。わたしも振り向いて外を見た。やわらかな雨が、降り始めていた。あまり役には立たなかったわたしの付け焼き刃のスペイン語だが、ちょっとだけでも勉強してよかったと思えたのだった。

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写真はあまりありませんでしたが、カウンターに立っているのが、「lluvia(ユビア)」とつぶやいた彼です。

こちらは、2年前にクリスマスを過ごしたときのマドリードの広場「PUERTA DEL SOL(プエルタデルソル)」。

マヨール広場から伸びた通りのイルミネーション。

リニューアルした「サン・ミゲル市場」。

随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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