先週東京へ行った際、「国立新美術館」でマティス展を観てきた。
「マティス~自由なフォルム」と題し、「巨匠がニースに遺した切り紙絵のあざやかな世界」とコピーが添えられている。
最近読んだばかりの原田マハ『常設展示室』の「豪奢 Luxe」と『The Modern モダン』の「新しい出口」に、マティスの描いた絵が登場していたので、親しみも湧いていた。
急遽空いた1時間ほどのひとり鑑賞だったが、マティスをじっくり眺めて歩くことができた。
アンリ・マティスは、フランスの画家&彫刻家。
大胆な色使いと、特徴のある素描で知られる。
「フォーヴィスム(野獣派)」(内的感情や感覚を、色彩を中心に表現)の創始者の一人。
色や線を単純化することによって伝わる表現を、追求した。
展覧会では、晩年、ベッドの上でも創作を続けていたという切り紙絵に大きくスポットを当てていた。
安藤サクラがナビゲーターを務める音声ガイドで、まず最初に、画家マティスの絵画に対する思いが語られていた。
観る人にとっての精神安定剤のような、あるいは、ゆったりとくつろげる肘掛け椅子のような絵を描きたい。
人の顔にはないような鮮やかな色彩を置いた「マティス夫人の肖像」。
デッサンのヴァリエーション。
実物が展示されていた「ロカイユ様式の肘掛け椅子」。
よく見ると何色もの青が使われていた「ブルー・ヌードⅥ」。
そして、最後の部屋に再現されていた「ヴァンス礼拝堂」のステンドグラスのやわらかな光。
どれをとっても、静かで穏やかな気持ちになる作品ばかりで、不思議だった。
ハッとさせられる色やくっきりとした線にも、マティスの絵を描く上での美学が、あるいは人として持つ穏やかさが、表れているのかもしれない。
入口です。初めて千代田線の乃木坂から行きました。駅と美術館、つながっているんですね。便利。
最初の作品「本のある静物」から、順を追って観ていきました。
最後の部屋に近づくと、巨大な「花と果実」が。
「花と果実」「ブルー・ヌードⅥ」があるこの部屋から写真撮影OKでした。
太股の部分には、10枚もの色の違う青い紙が組み合わされている、とナビで聴きました。
線画の「プラタナス」にも、惹かれました。
日本で初めてマティス展をした頃に、雑誌の表紙に使われたそうです。
南仏ヴァンスの「ロザリオ礼拝堂」を再現した部屋。マティスは午前11時のステンドグラスを透した光の当たり方が最も効果的だと考えていたそうです。いくつかの時間の光の入り方も、再現されていました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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