3日目。最後に訪ねたのは、「弘前れんが倉庫美術館」。
明治時代に建てられた日本酒醸造場、その後シードル工場だった赤い煉瓦の建物だ。
弘前は美術館も楽しみだが、レトロな洋館があちらこちらにあって、観て歩きたいと思っていた。
「雨だと、洋館巡りは難しいかも」
「あんまり降ってたら、予定変更かな」
そんな相談をしながら新青森から鈍行で45分ほどの弘前駅に到着。小雨が降ったりやんだりの1日になった。
「弘前れんが倉庫美術館」では、蜷川実花のカラフルな草花たちの写真が待っていた。
「蜷川実花展 with EiM: 儚(はかな)くも煌(きら)めく境界」
野に咲く花ではなく、人間の手で育てられ人間と共存する花々に惹かれ、撮り続けているという。
その企画展のなかの、父、蜷川幸雄が亡くなるまでの1年半に撮られたスナップ写真の部屋が、最も印象に残った。
写真集「うつくしい日々」――父が逝った日の空は綺麗すぎて怖いくらいだった
人物写真はほとんどなく、屋外の風景写真や、室内で小さな物に目を向けて撮った写真など、ビビットカラーの草花とは対極にあるようなとても静かな印象のスナップがいくつかの部屋を案内するかのように続いていた。
美術館を後にして、弘前の明治や大正時代に建てられたレトロな洋館を観て歩き、時間というものの不可思議を目撃しているような感覚に陥った。
蜷川実花が一瞬を切りとった写真。彼女が父と過ごした1年半。百年以上前に建てられた洋館たち。わたしたちが青森を旅した3~4日間。そして、今この時。
長く伸びたり、縮んだり、くねくね曲がったり、真っ直ぐどこまでも続いたりしていく、時間というもの。
そんな時間のしっぽを、旅の終わりに掴みかけたのだった。
美術館近くの私鉄の駅が、可愛らしかった。弘南鉄道「中央弘前駅」。終点です。
ホームの端が通路になっていて、美術館まで通り抜けられました。
「弘前れんが倉庫美術館」。
朝9時半。朝ご飯を食べ損ねたのでカフェに入ったら、11時までドリンクのみと言われ、ふたりで「お腹空いたね~」と言いつつ、シードルを飲みました。友人は、呑みくらべ。ここで醸造したシードルが名物なんです。
美術館に入ると、奈良美智の「あおもり犬」が、ここでもお出迎え。
蜷川実花の草花の写真の数々。
このモノクロのような夜桜? の写真に、とても惹かれました。真ん中に写り込んでいる文字は、ほかの展示物です。
じっと見つめる友人。
展示も、いろいろと趣向を凝らしていました。
写真集「うつくしい日々」より。
ランチして、小雨降るなかレトロな洋館巡り。「一戸時計店時計台」。
「第五十九銀行本店本館(青森銀行記念館)」。
「旧弘前市立図書館」。
図書館近くに、ミニチュアのレトロハウスコーナーがありました。
上の写真の「青森銀行記念館」だけど、色がカラフルすぎる~
新青森駅構内に飾られていたねぶた。青森ねぶた、五所川原ねぶた、弘前ねぶたがあるんですね。
土偶ねぶたも、いました。「三内丸山遺跡」も行きましたが、またいずれ。
駅弁を買って、東北新幹線に乗り込みました。旅の終わりは、ちょっと淋しい。
☆女子旅・青森の旅レポは、これでおしまいです。読んでくださって、ありがとうございました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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