WOWOWで、映画『ある男』を観た。
原作である平野啓一郎の小説は、夫婦で読んだので、夜のんびりとふたりで観ることにした。
(小説のレビューには、ネタバレが含まれます)
〈cast〉
城戸章良【妻夫木聡】日系三世の弁護士。里枝が離婚した際、担当した。
谷口里枝【安藤サクラ】離婚を機に故郷へ帰り、文房具店を営む。
谷口大祐(ある男)【窪田正孝】別人”谷口大祐”を名乗り、生きていた男。
ほか、清野菜名、眞島和秀、小籔千豊、仲野太賀、真木よう子、柄本明など。
〈story〉
バツイチの里枝は、故郷の文房具店で母と息子と暮らしていた。ときどき画材を買いに来る林業見習いの谷口は朴訥だが優しい男だ。やがて、ふたりは所帯を持ち女の子を授かるが、穏やかで幸せな時間は、つかの間だった。大祐は現場で事故死してしまう。
ところが死後、訪れた大祐の兄が遺影を見て別人だと言う。
弁護士の城戸は、里枝に依頼を受け駆けつけた。
大祐と名乗っていた夫はいったい誰だったのか、どんな理由があって他人として生きる選択をしたのか、調べてほしいのだと。
すべての過去を捨て去らなければ、生きていることさえままならない理由。
そんなものを持ち合わせている人間は、そうはいないだろう。
けれど、願望は誰にでもあるのかもしれない。
もし、明日からまったく違うひとりの人間として生きていくことができるとしたら。そこには、今よりも穏やかな暮らしが待っているのではないか。
そんなわけがないと知りながら、落ちるとわかっている穴に近づいてはいけないと思うがあまり、ふらふらと近づいてしまうときが人にはある。
違うカードを捲れば、そんな危うさをも感じられる映画だった。
個性派俳優揃いですね。「蜜蜂と遠雷」「愚行録」の石川慶監督作品。
予告編は、こちら。
☆画像はお借りしました。
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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