記事にした「妙蓮の滝」までの遊歩道のコースには、石積み遊びをした跡がたくさん見られた。
川辺にゆったりとした広さがあり、積みやすい石が豊富に転がっていたからだろうか。水際の涼しさもあり、そこで遊んでいた人々の姿が容易に思い浮かんだ。
積まれた石を見て、まず思い出したのは、むかし観た映画『ウェールズの山』だ。主演は、ヒュー・グラント。20年以上前の映画だ。
舞台は、イギリスのウェールズにある小さな村。村にはフュノン・ガルウと呼ばれる村人たちが誇りに思っている山があり、そこに測量技師2人がやってくる。測量するとフュノン・ガルウは山の高さ305mの基準には満たず「丘」にすぎないと判定される。
村人たちは、威信をかけてフュノン・ガルウを「山」であることを認めさせようと、土や石を積み始める。その一方でもう一度測量させるべく、技師たちを足止めする作戦にも余念がない。車を故障させ、娘に色仕掛けまでさせる。
最後にはヒュー・グラント演ずる技師のひとりが、村人たちの熱い思いにほだされるのだが、大雨で積んだ土石は大量に流されてしまうのだった。
幼い頃から見守ってくれていた山を大切に思う土地の人々と外から入って来た技師との心の交わりを、温かく描いた素敵な映画だった。
日本の田舎の川辺を歩いて、遠くイギリスの小さな村を描いた映画を思い出す。
人には、そういう瞬間がある。
いちばん右に積んである石は、うさぎのように見えました。
映画『ウェールズの山』を思わせた石積み。
ポルトガルで見た川辺で石積みをする老人。すごい!
随筆屋。
Webライター。
1962年東京生まれ。
2000年に山梨県北杜市に移住。
2012年から随筆をかき始める。
妻であり、母であり、主婦であること、ひとりの人であることを大切にし、毎日のなかにある些細な出来事に、様々な方向から光をあて、言葉を紡いでいきたいと思っています。
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